通信制高校

通信制高校とアルバイト。働いた実務が単位になることがあります

杉野 一樹

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「通信制に通いながらバイトはできますか」。これもよく聞かれる質問です。

先に答えです。できます。というより、通信制は働きながら通うことを想定してつくられた制度です。

働いていると、その実務で科目の履修の一部を代替できる仕組みまであります。

ただし1つだけ、全日制と扱いが違うところがあります。社会保険です。この記事で順に説明します。

通信制のしくみそのものは通信制高校とはにまとめました。

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学校に行かなくなったあとの4つの段階。この記事は「進路」の、入ったあとの話です。

働いていると、その実務が科目の履修の一部になる

まず、いちばん知られていない仕組みからです。

高等学校学習指導要領の解説に、こう書かれています。

「定時制及び通信制の課程においては、(中略)職業(家事を含む。)に従事している生徒に対して、その実務等をもって職業科目の履修の一部に代替できることを定めている」

つまり働いていること自体が、履修の一部として認められる場合があります。

しかも「家事を含む」と書かれています。家で家事を担っている人も対象になりえます。

ここは正確に読んでください。代替できるのは職業科目です。国語や数学が免除されるわけではありません。

実際に使えるかどうかは学校の判断です。「働いている分の代替はできますか」と聞いてみる価値はあります。

月14,000円で、卒業すれば返さなくていい制度がある

働きながら通う生徒向けの制度が、各県にあります。名前は「定時制課程及び通信制課程修学奨励金」などです。

2つの県で条件を確かめました。

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県 額 期間 返還
福井月14,000円4年以内卒業で免除
茨城月14,000円通算48月以内卒業で免除

どちらも月14,000円で、卒業すれば返さなくてよくなります。

48か月なら最大672,000円です。

条件もほぼ同じでした。県内の高校の定時制か通信制に在学していること、経済的な理由で修学が難しいことです。

そしてもうひとつ、経常的な収入を得る職に就いていることが要ります。

福井は「年間90日以上」と日数まで示しています。

申請は4月から6月で、学校長を通して出します。

京都府にも同じ名前の制度があります。条件が県をまたいでほぼ同じです。

住んでいる県の名前と「定時制通信制 修学奨励金」で探せば見つかります。

福井の事情は福井の通信制高校にも書きました。

名前が「貸与」なので見落とされやすい制度です。卒業すれば返さなくてよいので、実質は給付に近くなります。

学費そのものは国の就学支援金でかなり下がります。内訳は通信制高校の学費はいくら?に書きました。

ここが全日制と違う。社会保険の「学生だから入らない」が効かない

ここがこの記事でいちばん大事なところです。

アルバイトでも、一定の条件を満たすと健康保険と厚生年金に入ることになります。短時間で働く人の条件は4つです。

  1. 週の所定労働時間が20時間以上
  2. 所定内賃金が月額8.8万円以上
  3. 学生でないこと
  4. 決められた規模の事業所で働いていること

全日制の高校生は、3番目の「学生でないこと」で外れます。だから入らないことが多いのです。

ところが通信制は違います。日本年金機構のQ&Aに、こう書かれています。

「『学生』とは、主に高等学校の生徒、大学又は短期大学の学生、専修学校に在学する生徒等が該当しますが、卒業した後も引き続き当該適用事業所に使用されることとなっている者、休学中の者、定時制課程及び通信制課程に在学する者その他これらに準じる者は対象から除かれることとなります」

「学生」から、定時制と通信制が除かれています。

読み替えるとこうなります。通信制の生徒は、3番目の条件で外れません。要件を満たせば加入することになります。

もうひとつ。働く時間が正社員の4分の3以上になると、学生かどうかに関係なく被保険者になります。

これは損なのか

「入りたくない」と思うかもしれませんが、一方的に損とは限りません。厚生年金に入れば将来の年金が増えますし、健康保険の傷病手当金なども使えます。

ただし手取りは減ります。そして親の健康保険の扶養から外れることがあります。扶養の収入要件は年収130万円未満です。

もうひとつ、税金の扶養は社会保険とは別のしくみです。金額の基準が年度で変わるので、ここでは数字を書きません。

国税庁の案内と、親の職場に確認してください。この2つは別々に確かめる必要があります。

なお、月額8.8万円という条件は、撤廃される予定と案内されています。

時期は、令和8年10月の予定です。条件は動くので、働き始める前に最新を確かめてください。

18歳未満は、夜10時から朝5時まで働けない

年齢によるルールもあります。労働基準法に書かれています。

「使用者は、満十八才に満たない者を午後十時から午前五時までの間において使用してはならない」(第61条)

基本は、18歳未満は夜10時以降は働けません。

交替制で働く満16歳以上の男性には、例外があります。

ほかにも決まりがあります。

  • 18歳未満には、36協定による時間外労働や変形労働時間制が原則として使えない(第60条)
  • 満15歳になった日以後の最初の3月31日が終わるまでは、原則として働けない(第56条)
  • 親権者は、未成年者に代わって労働契約を結んではいけない(第58条)
  • 未成年者は自分で賃金を請求できる。親権者が代わりに受け取ってはいけない(第59条)

これらは年齢で決まります。通信制だから緩くなる、ということはありません。

深夜のシフトを勧められたら、年齢を伝えて断って構いません。法律で決まっていることです。

レポートは月4〜5回。どれくらい働けるか

時間の見積もりです。

卒業に必要な単位ぶんのレポートは、162回から202回になります。

3年で割ると、ほぼ毎週1回以上です。

スクーリングは必履修の科目だけで94単位時間、時間に直すと約78時間かかります。

計算の中身は通信制高校のレポートは何回書くのかに書きました。

シフトを決める前に、スクーリングの日を先に押さえてください。あとから休みを取るより確実です。

ひとつ正直に書いておきます。「通信制の生徒のうち何%が働いているか」という公的な数字は見当たりませんでした。

学校基本調査の通信制の統計表を見ました。学校数、都道府県別の生徒数、年齢別の生徒数、科目の実施状況などです。

職業別の表はありませんでした。

だから「みんなどれくらい働いているのか」は、入る学校に聞くのがいちばん早いです。

確かめる順番

ここまでの内容を、確かめる順に並べました。

働きながら通うときに確かめる5つ。県の修学奨励金を調べたか、社会保険の扱いが違うと知っているか、夜10時以降は働けないと知っているか、シフトを決める前に学校の日を確かめたか、働いた実務が単位になることがある
シフトより先に、スクーリングの日を押さえてください。

順番はこうです。まずスクーリングの日程を確かめる。次にシフトを決める。

そのうえで、県の奨励金と社会保険の扱いを調べます。この2つは後回しにされがちですが、金額が大きいところです。

聞くこと

  • 学校に:働いている分の代替はできますか
  • 学校に:スクーリングはいつですか
  • 県か学校に:修学奨励金は使えますか
  • 職場に:社会保険の対象になりますか

まとめ

通信制高校とアルバイトについて、調べてわかったことを並べます。

学習指導要領は、職業に従事している生徒がその実務で職業科目の履修の一部を代替できると定めています。家事も含まれます。

働いている生徒向けに、月14,000円で卒業すれば返還が免除される奨励金が各県にあります。福井と茨城で条件を確かめました。

社会保険の「学生だから入らない」という除外に、定時制と通信制は入りません。要件を満たせば加入対象になります。

18歳未満は、深夜に働けません。これは年齢で決まるルールです。

深夜とは、午後10時から午前5時までです。

レポートは月に4回から5回です。シフトより先にスクーリングの日を押さえてください。

学校ごとの進め方は資料で確かめるのが早いです。

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履修の代替は高等学校学習指導要領解説 総則編、社会保険は日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&A集」によります。

働き方のルールは労働基準法、奨励金は福井県と茨城県の制度案内によります。

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杉野 一樹(ペンネーム)
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不登校・進路情報編集者
「みちほどき」運営者。 不登校や学校に行きづらくなった子どもと保護者に向けて、出席扱い、学習支援、フリースクール、通信制高校、高卒認定、進学・就職などの情報を発信しています。 専門家や当事者としてではなく、文部科学省や自治体、学校などが公開する情報を確認し、制度や選択肢をわかりやすく整理することを大切にしています。 「学校に戻る」だけではない、その子に合った次の道を考えるための情報サイトを目指しています。
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