通信制高校

通信制高校から大学進学は難しい?「難しい」の正体は学力ではなく入試の型。私立大の6割は推薦・総合型で入っている

通信制高校から大学進学。難しさの正体は入試の型。分かれ道の前に立つ親子のイラストにタイトルを載せたアイキャッチ
杉野 一樹

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「通信制からでは大学は無理」と言われた。自分でもそう思っている。

そういう人に向けて書きます。親が読んでいる場合も同じです。

先に答えです。通信制から大学に行く人は、卒業した人の21.2%です。

10年で2.6倍に増えました。

「難しい」の正体は学力ではなく、入試の型へのアクセスです。

この記事で分かること
  • 大学入学者の内訳は、一般選抜46%、学校推薦型34%、総合型20%。私立大では推薦・総合型が6割
  • 通信制で差が出るのは、学校推薦型(指定校)の枠が学校ごとに違うところだけ。総合型と一般選抜は同じ土俵
  • 学校を選ぶ時点で聞くのは2つ。指定校推薦の実績と、受験勉強の場
学校に行かなくなったあとの4つの段階。いま、学び直し、進路、その先。この記事は「その先」の段階
学校に行かなくなったあとの4つの段階。この記事は「その先」の話です。

先に答え:難しさの正体は入試の型。3つのうち2つは同じ土俵

大学の入試は、3つの型に分かれます。一般選抜、学校推薦型選抜、総合型選抜です。

このうち、通信制と全日制で条件が違うのは1つだけです。学校推薦型、いわゆる指定校推薦です。大学が高校ごとに枠を出すので、通っている学校に枠があるかどうかで決まります。

一般選抜は、試験の点数だけです。総合型は、活動と志望理由と面接です。この2つは、通信制でも全日制でも同じ土俵です。

数字:通信制卒の21.2%が大学へ。10年で2.6倍

文部科学省の学校基本調査を集計した、通信制の卒業者の進路です。

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年度 卒業者 大学に進んだ人 割合
2015年度51,497人6,974人13.5%
2020年度60,691人8,446人13.9%
2024年度84,450人17,917人21.2%

全日制・定時制の卒業者は、大学に58.4%が進みます。差はあります。ただし、この差の中身は次の節で分けます。

通信制の卒業者の全体像は通信制高校は人生終わり?卒業した9万人が、そのあとどうなったかに書きました。

大学入学者の内訳:一般46%、学校推薦型34%、総合型20%

2025年度の大学入学者の選抜区分です。

文部科学省が2025年11月に公表しました。

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選抜の型 入学者に占める割合(全体) 私立大学 国立大学
学校推薦型選抜34.1%38.8%12.7%
総合型選抜19.5%22.8%7.7%
一般選抜など46.4%38.4%79.6%

私立大学では、入学者の6割が推薦か総合型で入っています。一般選抜は4割です。

国立大学は逆で、8割が一般選抜です。

「通信制から大学」と聞くと一般選抜の学力の話になりがちです。でも、私立大学の入り口の6割は、別の型です。だから、型ごとに分けて考えます。

型1:一般選抜。全日制と同じ土俵

一般選抜は、試験の点数で決まります。出身校は関係ありません。

差が出るのは、受験勉強の場です。全日制は授業がそのまま受験対策になります。通信制のレポートとスクーリングは卒業のためのもので、入試の範囲には足りません。

だから、通信制で一般選抜を使うなら、受験勉強の場を別に持つ。塾、オンラインの個別指導、通信制高校の進学コース。

どれでも構いません。高2までに場所を決めます。

目的別の選び方と塾代の目安は通信制高校生の塾・予備校にまとめました。

型2:総合型選抜。評定より活動と志望理由

総合型選抜は、大学入学者の19.5%、私立では22.8%です。書類、志望理由、面接、小論文などで決まります。

学校の推薦は要りません。高校で何を続けてきたかを、自分の言葉で語れるかが中心です。

ここは、通信制の「時間がある」が効く型です。部活でも、仕事でも、制作でも、資格でも。高校のあいだに続けていることが1つあれば、材料になります。

何もないなら、高1のうちに1つ始めると間に合います。

型3:学校推薦型(指定校)。ここだけ通信制で差が出る

学校推薦型選抜は、大学入学者の34.1%、私立では38.8%です。いちばん大きな入り口です。

このうち指定校推薦は、大学が高校ごとに枠を出します。校内の選考を通れば、ほぼ合格します。

枠があるかどうかは、高校で決まります。通信制でも枠を持つ学校はありますが、学校で差が大きいです。

通信制の評定(内申)は、レポート、スクーリング、テストで付きます。全日制と同じように付きます。ただ、指定校の枠が少ない学校では、この型は使えません。

だから、学校を選ぶ時点で聞くことは1つです。「行きたい大学の指定校推薦の枠と、去年の実績はありますか。」答えが返る学校なら、材料になります。

通信教育部という道:進学者の15.1%が選ぶ

大学にも、通信制があります。大学・短大の通信教育部です。

学校基本調査の区分「大学等進学者」で見ます。

2024年度中に通信制を卒業して、大学等に進んだ人は26,301人でした。

このうち3,982人、15.1%が通信教育部です。

全日制・定時制では、大学等に進んだ582,042人のうち712人でした。

0.1%です。桁が違います。

県によっても差があります。進学者に占める通信教育部の割合は、沖縄が37.0%、茨城が29.0%でした。

山梨は0.4%です。

働きながら学ぶ、通学の負担を減らす。そういう理由で、通信制の卒業者にはこの道が根付いています。大学進学の形は、通学だけではありません。

この記事の「21.2%」とは、数え方が違う

上で使った26,301人は、国の区分「大学等進学者」です。大学・短大のほかに、通信教育部・別科・専攻科も入っています。

この記事の最初に出した21.2%は、大学・短大に限った数え方です。同じ調査でも、どこまでを数えるかで割合が変わります。

学校の「大学進学率」を比べるときは、この点を確かめてください。卒業後の進路の全体像は通信制高校は人生終わり?にまとめました。

高卒認定を併用する道

通信制に在籍したまま、高卒認定(高等学校卒業程度認定試験)を受ける人もいます。合格すると、大学を受ける資格が先に手に入ります。

2025年度の第2回の結果です。

  • 受験者:8,327人
  • 合格者:3,945人

試験は年に2回あります。

ただし、高卒認定は「高校卒業」の学歴にはなりません。通信制を卒業すれば学歴は高卒です。受験資格を早く取る道と、卒業の道は、両方進めて構いません。

「進学実績ランキング」は、公的には存在しない

「通信制高校 大学進学 ランキング」で探す方がいます。ここも先に書いておきます。

学校ごとの進学率を並べた公的な一覧は、ありません。

文部科学省の学校基本調査で公表されているのは、課程別・都道府県別までです。この記事で使っている21.2%も、通信制の卒業者84,450人をまとめた全国の数字です。

学校が出している実績は、各校が任意で公表しているものです。だから数え方がそろっていません。

  • 合格者数か、進学者数か。1人が5大学に受かれば合格者数は5になります
  • 延べ人数か、実人数か
  • 在籍者のうち何人が受けたかが書かれているか

分母が違うものを並べても、順位にはなりません。

比べるなら、次の章の3つを聞いてください。とくに指定校推薦の枠は、学校によって実際に差が出るところです。

学校に聞く3つ

通信制から大学へ、どの入試の型を使うかを確かめる3つの質問。指定校推薦の枠があれば学校推薦型、続けている活動を志望理由で語れれば総合型、受験勉強の場所があれば一般選抜。なければ受験勉強の場所を先に作る
指定校推薦の枠、続けている活動、受験勉強の場所。この順で、使える型が決まります。
  1. 行きたい大学の指定校推薦の枠と、去年の実績はありますか。型3が使えるかが決まります
  2. 評定はどう付きますか。活動の記録は、調査書にどう書けますか。型2と型3の材料になります
  3. 受験勉強の場は、学校にありますか。なければ、どこを勧めますか。型1の準備です

3つとも、入学前の説明会で聞けます。

転入で移る人は、時期も関わります。通信制高校への転入は後悔する?に書きました。

注意

注意:「大学進学率〇%」を前に出す学校は、その数字の分母を聞いてください。卒業者全体か、進学コースの生徒だけか。指定校推薦の枠は「〇〇大学から〇人」と具体的に答える学校が、材料になります。

まとめ

  • 通信制から大学に行く人は21.2%。10年で2.6倍。「難しい」の正体は学力ではなく入試の型
  • 私立大の6割は推薦・総合型。通信制で差が出るのは指定校推薦の枠だけ。総合型と一般選抜は同じ土俵
  • 学校を選ぶ時点で、指定校推薦の実績と受験勉強の場を聞く
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出典

  • 文部科学省「令和7年度国公私立大学入学者選抜実施状況」(2025年11月26日公表)。総合型選抜の入学者126,766人(19.5%。私立22.8%・国立7.7%・公立6.0%)、学校推薦型選抜221,415人(34.1%。私立38.8%・国立12.7%・公立26.9%)。一般選抜などの割合は、この2つを100%から引いた値
  • 文部科学省「学校基本調査」各年度(リクルート進学総研「高校の通信制課程 その現状と卒業生の進路変化」2025年4月による集計)。通信制の卒業者と大学進学者の推移(2015年度〜2024年3月卒)。この集計は大学・短大に限った数え方で、国の区分「大学等進学者」とは範囲が異なる
  • 文部科学省「令和7年度第2回高等学校卒業程度認定試験実施結果」(2025年12月10日)。受験者8,327人、合格者3,945人
  • 文部科学省「令和7年度学校基本調査」卒業後の状況調査 表297(高等学校 通信制)・表283(全日制・定時制)「状況別卒業者数」(2025年12月26日公表、e-Stat)。2025年3月卒業者のうち大学等進学者26,301人と通信教育部3,982人、全日制・定時制582,042人と712人、都道府県別
  • 通信教育部の割合(15.1%・0.1%・県別)は、大学等進学者に占める割合として当サイトが計算
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杉野 一樹(ペンネーム)
杉野 一樹(ペンネーム)
不登校・進路情報編集者
「みちほどき」運営者。 不登校や学校に行きづらくなった子どもと保護者に向けて、出席扱い、学習支援、フリースクール、通信制高校、高卒認定、進学・就職などの情報を発信しています。 専門家や当事者としてではなく、文部科学省や自治体、学校などが公開する情報を確認し、制度や選択肢をわかりやすく整理することを大切にしています。 「学校に戻る」だけではない、その子に合った次の道を考えるための情報サイトを目指しています。
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