通信制高校

通信制高校生の塾・予備校|数学の「先生に教わる時間」は全日制の35分の1。目的別の選び方と、塾代の目安は年40万円前後

杉野 一樹

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通信制高校に通っている、またはこれから通う。塾や予備校は必要なのか。必要なら、どれを選べばいいのか。

そういう方に向けて書きます。

先に答えです。通信制高校の数学は、先生から直接教わる標準の時間が、全日制の35分の1です。学ぶ量は全日制と同じで、残りは自分で進める仕組みです。

だから塾が役に立つのは、「一人では分からない教科」と「大学受験」です。目的によって、選ぶ形が変わります。

この記事で分かること
  • 通信制の数学・国語・社会は、1単位あたりの面接指導が1単位時間。全日制の授業35単位時間に対して35分の1
  • 塾が役に立つのは、理解が追いつかない教科と、大学受験の対策
  • 目的別に、個別指導・オンライン家庭教師・映像授業・予備校を選ぶ
  • 全日制の高校生で塾に払っている家庭は約4割。払った家庭の平均は年38万〜44万円

先に答え:通信制は「学ぶ量は同じ、教わる時間が少ない」

高校の勉強は「単位」で数えます。全日制と通信制では、1単位の中身が違います。

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項目 全日制 通信制(標準)
1単位の授業50分×35回教科によって決まった回数のレポートと面接指導
先生に直接教わる時間授業そのもの面接指導(スクーリング)の時間
残りの学習授業と宿題教科書などで自分で進める

文部科学省の学習指導要領の解説には、通信制の学習量の考え方が書かれています。全日制の学習量に相当するように決められている、というものです。

つまり、通信制で減っているのは「勉強の量」ではありません。先生から直接教わる時間です。

数字:数学Ⅰは、教わる時間が150分

学習指導要領には、通信制の1単位あたりの標準があります。レポート(添削指導)の回数と、面接指導の時間です。

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教科 レポート(1単位) 面接指導(1単位)
国語、地理歴史、公民、数学3回1単位時間(50分)
理科、芸術、外国語3回4単位時間
体育1回5単位時間
保健3回1単位時間

これを、よく履修する科目に当てはめて計算しました。

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科目(標準の単位数) 全日制の授業 通信制の面接指導 通信制のレポート
数学Ⅰ(3単位)105単位時間(約88時間)3単位時間(150分)9回
英語コミュニケーションⅠ(3単位)105単位時間(約88時間)12単位時間(10時間)9回
物理基礎(2単位)70単位時間(約58時間)8単位時間(約6.7時間)6回

数学Ⅰで先生に教わる標準の時間は、全日制の35分の1です。

英語や理科は、約9分の1になります。

学校によっては、標準より多く面接指導をしたり、動画の授業を用意したりしています。ただ、数学・国語・社会は、一人で教科書を読んで理解する部分が大きい教科です。

塾が役に立つ3つの場面と、選ぶ形

塾を使う目的は、大きく3つに分かれます。目的によって、合う形が違います。

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目的 困っていること 合う形
レポートを進める教科書を読んでも分からない学校への質問、サポート校、個別指導
中学の内容から学び直す前の学年の内容でつまずいている個別指導、オンライン家庭教師
大学受験一般選抜の対策をしたい映像授業、予備校、オンライン家庭教師

① レポートが進まない:まず学校に聞く

レポートが進まないときは、最初に在籍する学校の質問の仕組みを確かめます。電話、メール、スクーリングの日など、どの方法で聞けるかは学校ごとに違います。

質問に答える仕組みは、国のガイドラインで学校に求められています。詳しくは通信制高校の勉強に書きました。

サポート校は、レポートや単位の取り方を手伝う施設です。費用は、学校の公表例で初年度50万〜100万円と大きくなります。

違いは通信制高校とサポート校の違いに書きました。

塾や家庭教師は、分からない単元を説明してもらう場所として使います。レポートは本人が取り組むものなので、答えを写すような使い方は避けてください。

② 中学の内容から学び直す:個別指導

中学の数学や英語でつまずいていると、高校の教科書を読んでも進みません。この場合は、一人ひとりの今の学力から始める個別指導が合います。

集団の授業は、学年の内容を前提に進みます。前の学年に戻れる形かどうかを、体験や説明会で確かめてください。

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③ 大学受験:映像授業、予備校、オンライン家庭教師

通信制から大学に進む人は、卒業者の21.2%です。一般選抜を受けるなら、受験勉強の場を別に持つ必要があります。詳しくは通信制高校から大学進学に書きました。

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形 向いている人 気をつけること
映像授業自分のペースで進められる人質問できる相手を別に用意する
予備校(集団)決まった時間に通える人通信制の登校日と重ならないか
オンライン家庭教師家で、1対1で教わりたい人先生との相性を体験で確かめる

登校日が少ない学校なら、平日の昼に時間を使えます。昼に受けられるオンラインの形とも組み合わせやすくなります。

ネットコースで通う時間の目安は、通信制高校のネットコースに書きました。

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費用:全日制でも塾に払うのは4割、払う家庭は年40万円前後

塾代の目安として、文部科学省の「子供の学習費調査」(2023年度)を見ます。この調査は全日制の高校が対象で、通信制は含まれていません。

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項目 公立高校(全日制) 私立高校(全日制)
学習塾費が0円の家庭61.4%62.4%
学習塾費を払った家庭の年間平均約38.1万円約44.4万円
家庭教師・通信教育費を払った家庭の年間平均約8.3万円約11.8万円

全日制の高校生でも、塾に払っている家庭は約4割です。払っている家庭では、年間の平均が40万円前後になります。

調査の学習塾費には、授業料のほか、入会金や講習会費、教材費、模試代、交通費も入っています。通信制の学費と、サポート校や塾の費用を足した総額で比べてください。通信制の学費は通信制高校の学費にまとめています。

注意
  • 面接指導とレポートの回数は、学習指導要領の「標準」です。実際の回数は学校ごとに違います
  • 塾代は全日制の高校生の調査です。通信制の高校生の塾代を示す国の調査はありません
通信制高校生が塾を選ぶ前に確かめる4つ。学校の質問の方法と面接指導の回数(数学の標準は1単位に50分)、つまずきが高校の内容か中学の内容か、一般選抜か推薦・総合型か、登校日と重ならない形を体験で確かめる(全日制でも塾に払う家庭は約4割、平均は年40万円前後)
塾を選ぶ前に確かめる4つ。学校とつまずき、受験と費用。

塾を選ぶ前に確かめる順番

  1. 在籍校(または入学予定の学校)の質問の仕組みと、面接指導の回数を確かめる
  2. つまずいているのが「高校の内容」か「中学の内容」かを分ける
  3. 大学受験をするなら、一般選抜か、推薦・総合型かを決める
  4. 塾・家庭教師・映像授業の体験を受け、通信制の登校日と重ならないか確かめる

まとめ

  • 通信制の学習量は全日制と同じ。減っているのは、先生から直接教わる時間
  • 数学Ⅰの面接指導の標準は150分で、全日制の授業の35分の1。英語や理科は約9分の1
  • レポートが進まないなら、まず学校の質問の仕組み。中学からの学び直しは個別指導
  • 大学受験は、映像授業・予備校・オンライン家庭教師から、登校日と重ならない形を選ぶ
  • 全日制でも塾に払う家庭は約4割、払う家庭の平均は年38万〜44万円。学費と足した総額で比べる

出典

  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 総則編」。単位の計算(1単位時間50分、35単位時間で1単位)、通信制の課程の添削指導の回数及び面接指導の単位時間数の標準、通信制の学習量の考え方
  • 文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」結果の概要(2026年1月16日差替)。高等学校(全日制)の学習塾費の平均、学習塾費の金額分布(0円の割合)、支出者のみの平均額、通信教育・家庭教師費の支出者のみの平均額、学習塾費に含まれる経費
  • 文部科学省「学校基本調査」(通信制の卒業者の大学等進学。当サイトの通信制高校から大学進学で集計)
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杉野 一樹(ペンネーム)
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不登校・進路情報編集者
「みちほどき」運営者。 不登校や学校に行きづらくなった子どもと保護者に向けて、出席扱い、学習支援、フリースクール、通信制高校、高卒認定、進学・就職などの情報を発信しています。 専門家や当事者としてではなく、文部科学省や自治体、学校などが公開する情報を確認し、制度や選択肢をわかりやすく整理することを大切にしています。 「学校に戻る」だけではない、その子に合った次の道を考えるための情報サイトを目指しています。
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