通信制高校の勉強|内容は全日制と同じ。数学Ⅰでは4割の学校が中学の内容から教えている。勉強の仕方と、できないときに学校に頼めること
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中学の勉強が抜けている。通信制高校の勉強についていけるのか。家で、どう勉強すればいいのか。
そういう方に向けて書きます。
先に答えです。学ぶ内容は、全日制と同じです。国のガイドラインが、全日制と同じだけの学習を求めています。
一方で、中学の内容から教えている学校も多くあります。国の全数調査では、数学Ⅰで323校のうち130校でした。
調査の数字と、勉強の進め方、困ったときに学校に頼めることを順に書きます。
- 学ぶ内容は全日制と同じ。レポート1回は、数学Ⅰで20問以上の学校が約8割
- 中学までの内容の学び直しを科目に入れている学校は、数学Ⅰで4割、英語で4割弱
- 勉強時間に国の決まりはない。学校の「通信教育実施計画」の提出日から逆算する
- 勉強できないときは、質問の窓口と面談を学校に頼める。国のガイドラインに書かれている
先に答え:内容は同じ。入口は中学から支える学校がある
通信制高校の勉強は、3つでできています。レポート(添削指導)、スクーリング(面接指導)、試験です。
心配ごとごとに、国の調査で分かることをまとめました。
| 心配 | 国の調査・ガイドラインで分かること |
|---|---|
| 勉強のレベルは低いのか | 全日制と同じだけの学習が求められている |
| レポートは簡単か | 数学Ⅰの1回分が、平均20問以上の学校が77% |
| 中学の内容が分からない | 数学Ⅰで130校が中学までの内容も教えている |
| 勉強できなくなったら | 質問の仕組みと、面談や電話が学校に求められている |
レポートの回数と月のペースは、通信制高校のレポートは何回書くのかに書きました。
この記事は、中身のレベルと進め方を扱います。
レベル:学ぶ内容は全日制と同じ。記述式の問題も入る
文部科学省は、通信制高校向けのガイドラインを出しています。「高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン」です。
通信制でも、全日制・定時制と同じだけの学習が求められると書かれています。科目も、全日制と同じ学習指導要領に沿って教えます。
レポートの中身にも、決まりがあります。マークシートのような、機械的に採点できる課題は不適切とされています。
文章で答える記述式を、一定量入れることになっています。試験も同じで、レポートと全く同じ問題を出すのは不適切です。
レポート1回に、何問あるか
文部科学省は、通信制高校のある学校すべてを毎年調べています。2025年度は323校です。
この調査に、レポート1回あたりの問題の数が、科目ごとに出ています。
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| 科目 | 1回が平均20問以上の学校 | 記述式が平均5問以上の学校 |
|---|---|---|
| 数学Ⅰ | 249校(77%) | 207校(64%) |
| 英語コミュニケーションⅠ | 263校(81%) | 223校(69%) |
レポートの問題数は、20問以上の学校が多数派です。記述式の問題も、半分以上の学校で平均5問以上です。
「通信制のレポートは簡単」という話を聞くことがあります。学校によって差はありますが、数字で見ると、軽い量ではありません。
学び直し:数学Ⅰでは4割の学校が、中学までの内容も教えている
同じ調査に、「学び直しの状況」という項目があります。高校の科目の中で、小中学校の内容の定着を図る指導をしているかです。
| 科目 | 学び直しの指導をしている学校 |
|---|---|
| 数学Ⅰ | 130校(40%) |
| 英語コミュニケーションⅠ | 122校(38%) |
| 現代の国語 | 96校(30%) |
| 歴史総合 | 75校(23%) |
数学と英語で多いのが特徴です。どちらも、中学の内容を土台に積み上げる科目です。
学び直しに使う時間は、科目の一部です。数学Ⅰでは、指導している学校の多くが「1〜2割」と答えています。
生徒の半数以上に、中学の学び直しが必要な学校
文部科学省の委託調査(令和5年度)は、学校の側の見立ても聞いています。
対象は、広域通信制(全国から生徒を集める学校)で答えた36校です。
25校が「半数以上の生徒に、中学の英語の学び直しが必要」と答えました。数学も同じ25校です。
中学の勉強が抜けたまま入学する人は、珍しくありません。入学前に分からないところがあっても、それだけで諦める理由にはなりません。
この調査では、学校の工夫も集めています。基礎から学び直す入門科目や、中学レベルの英語・数学の講座です。平日に質問できる自習室もあります。
学校を選ぶときは、「中学の内容を学び直す講座はありますか」と聞いてください。
勉強時間:国の決まりはない。学校の「実施計画」から逆算する
通信制高校の勉強時間に、国が決めた時間数はありません。目安にするのは、学校が決めた提出日です。
ガイドラインは、学校に「通信教育実施計画」を作ることを求めています。レポートの提出日、スクーリングの日、試験の日を書いた年間の計画です。
この計画は、生徒に先に示し、一般にも公開することになっています。
ただし、2025年度の調査で公表していた学校は、半分以下の149校でした。
サイトに見当たらなければ、学校に「実施計画はありますか」と聞いてください。
レポートを試験前にまとめて出させる運用も、ガイドラインで禁じられています。提出日は1年に散らばっているので、ためると追いつくのが大変になります。
1週間の組み方の一例
提出日から逆算して、1週間に置く形です。1つの例として書きます。
- 週に2日:レポートを1回分ずつ進める
- 週に1日:返ってきたレポートの解説を読み直す
- ほかの日:分からない単元を、中学の教科書や動画で少しずつ戻る
レポートは月に4〜5回が目安なので、この形で回ります。
「1日に1科目だけ」と決めると、始めやすくなります。
通う日の時間割と、通わない平日の過ごし方は通信制高校の時間割と1日に書きました。
勉強の仕方:1科目は「教科書→レポート→解説→スクーリング→試験」
1つの科目は、この順で進みます。
- 教科書や学習書、動画で、その回の範囲を読む
- レポートを解いて出す
- 返ってきた添削の解説を読む(ここがいちばん大事)
- スクーリングで、分からなかったところを聞く
- 試験を受ける
ガイドラインは、添削に「誤答の内容を踏まえた解説」を書くよう求めています。自分で学ぶためのアドバイスもです。正解だけを返すのは、不十分とされています。
返ってきたレポートは、試験の教材そのものです。試験は、添削やスクーリングの内容と関連付けて作ることになっています。
動画は、NHK高校講座が使える
数学Ⅰでは、NHK高校講座のネット配信を使う学校が133校あります。
NHK高校講座は、在籍している学校に関係なく、無料で見られます。自分の学校の教材で分からないとき、別の説明を聞く場所になります。
勉強できない・しないとき:学校に頼めること
レポートが止まる。家で勉強しない。通信制では、よく起きることです。
委託調査でも、続けにくい理由に「学業不振、学習意欲喪失」が多く挙がっています。
ガイドラインには、学校がすべきことが書かれています。頼んでいいことです。
- レポートの質問を受け付けて、速やかに答える仕組み
- 誤答に合わせた解説と、自分で学ぶためのアドバイス
- レポートやスクーリングに取り組めない生徒への、面談や電話などの支援
- 教育支援や進路指導は、通学コースに申し込んでいない生徒にも行う
最後の1つは、見落としやすい点です。通学コースに入っていなくても、学校は支援をする立場にあります。
親ができること
「勉強しなさい」と言う前に、2つだけ確かめます。
いま、レポートが何回たまっているか。学校の誰に質問できるか。この2つが分かると、本人も動きやすくなります。
たまっている回数が多いときは、本人と一緒に学校へ連絡してください。面談や、提出の計画を立て直す相談ができます。
学校の外で学び直すなら
中学の内容から戻りたい。学校の講座だけでは足りない。そのときは、学校の外の個別指導も使えます。
前の学年に戻れる形かどうかを、説明会で確かめてください。
高校の科目を動画で復習したい、大学受験も考えている。そういう場合は、映像授業のサービスがあります。
塾や予備校の使い分けは通信制高校生の塾・予備校に書きました。
勉強で困る前に、学校に聞く4つ

入学前の説明会でも、入学後でも使えます。
- 中学の内容を学び直す講座や科目はあるか
- 通信教育実施計画(提出日・試験日)は、どこで見られるか
- レポートの質問は、どうやってして、何日くらいで返ってくるか
- 遅れたとき、学校から連絡や面談はあるか
学校の選び方全体は近くの通信制高校はどう探す?にまとめました。
まとめ
- 学ぶ内容は全日制と同じ。レポート1回は、数学Ⅰで平均20問以上の学校が77%。記述式も入る
- 中学までの内容の学び直しを科目に入れている学校は、数学Ⅰで130校、英語で122校
- 勉強時間に国の決まりはない。学校の通信教育実施計画の提出日から逆算する。公表している学校は323校中149校
- 勉強の中心は、返ってきた添削の解説。試験はそれと関連付けて作られる
- 勉強できないときは、質問の窓口と面談を学校に頼める。通学コースに入っていなくても同じ
出典
- 文部科学省「令和7年度通信制高等学校実態調査に関する調査結果について」(2026年4月21日公表、令和7年5月1日時点、323校)。科目ごとの添削課題1回あたりの設問数と記述式の設問数(数学Ⅰ、英語コミュニケーションⅠ)、学び直しの状況(既存科目の中で義務教育段階の学習内容の定着を図る指導を行っている学校数と、指導内容全体に占める割合)、多様なメディアの種類。通信教育実施計画の公表状況(公表149校・一部公表34校・公表していない140校)。割合は当サイトで計算
- 文部科学省委託調査「定時制・通信制の課程を置く高等学校について(令和5年度)」調査報告書(株式会社富士通総研)。義務教育段階の学び直しが必要な生徒の割合(令和6年1月1日時点、広域通信制の回答校)、学びの継続が難しい生徒の要因と指導上の工夫
- 文部科学省「高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン」(令和5年2月一部改訂)。全日制・定時制と同等の学習、通信教育実施計画の作成と公開、添削課題の記述式・まとめての提出の禁止・解説の記載・質問への回答、面接指導の役割、試験の記述式、取組が困難な生徒への支援、通学コースの有無にかかわらない支援

