通信制高校

通信制高校はやめとけ? デメリットとメリットを数字で並べて、やめたほうがいい学校を見分ける

通信制高校はやめとけ? 見分けるのは学校のほう。分かれ道の前に立つ親子のイラストにタイトルを載せたアイキャッチ
杉野 一樹

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「通信制高校はやめとけ」と、誰かに言われた。掲示板で見た。自分でも迷っている。

そういう人に向けて書きます。

先に答えです。「やめとけ」が当たるのは、通信制という制度ではありません。合わない学校に入ったときです。

この記事は、合う学校と合わない学校の見分け方を書きます。

この記事で分かること
  • 「やめとけ」の理由5つは、数字で見ると当たるものと当たらないものがある
  • 入学する人の57%は、中3のとき不登校だった。通信制では多数派
  • デメリットの裏側は同じ数字で説明できる。多いか少ないかを数えても答えは出ない
  • 見分けるのは「通う回数」「相談できる人」「数字を出すか」の3つ
学校に行かなくなったあとの4つの段階。いま、学び直し、進路、その先。この記事は進路の段階
学校に行かなくなったあとの4つの段階。この記事は「進路」の話です。

先に答え:「やめとけ」が当たるのは、通信制ではなく合わない学校

通信制高校は、全国に323校あります。同じ通信制でも、通う回数、先生の数、相談の仕組みは学校でまるで違います。

途中でやめる人の割合も、学校によって0%から25%まで幅があります。文部科学省の委託調査の数字です。「通信制はやめとけ」ではなく「この学校はやめとけ」が、正しい言い方です。

では、どの学校がそうなのか。まず「やめとけ」と言われる理由を、1つずつ数字で確かめます。そのあとで見分け方を書きます。

「やめとけ」の理由5つを、数字で確かめる

掲示板や知恵袋で言われる理由は、だいたい5つです。順に見ます。

理由1「卒業できない」→ 学校によって、0%から25%

途中でやめる人は、高校全体で在籍者の1.4%です(2024年度)。

通信制だけを見ると、1校あたり平均4.2%でした。

平均より大事なのは、幅です。同じ通信制でも、0%の学校と25%の学校があります。つまり「卒業できない」は、通信制の性質ではなく、学校の差です。

もう一つ、数字があります。1年間、課題は出したけれど一日も登校しなかった生徒が、全体の2.6%いました。

この人たちがどの型の学校に多いかは、あとの節で書きます。見分け方の中心になる数字です。

理由2「大学や就職に不利」→ 卒業した人の約7割は進学か就職

通信制を卒業した人のうち、大学・専門学校・就職に進んだ人は約7割です。全日制と差があるのは、大学に行く割合だけです。

この数字は通信制高校は人生終わり?卒業した9万人が、そのあとどうなったかにまとめてあります。就職で採用する側からどう見えるかも、そこに書きました。

理由3「学費が高い」→ 授業料は支援される。残るのは施設費とサポート校

国が授業料を支援する制度が「就学支援金」です。2026年度から、所得の制限がなくなりました。

私立の通信制は、年に33万7,200円まで支援されます。

学費が高くなるのは、授業料以外の部分です。施設費と教材費、それにサポート校を使う費用です。

サポート校は、勉強や生活を手伝う民間の施設です。

「学費が高い」は、サポート校を使うかどうかで決まります。入る前に、1年間の総額を聞けば分かります。

理由4「友達ができない」→ 通う型で、まるで違う

通信制の生徒は約30万人です。文部科学省の調査では「通学コース」という呼び方で数えています。

通う型ごとに分けると、下の表のようになります。

通う型 生徒数
週5日約3.8万人
週2〜4日約3.9万人
週1日約3.7万人
年に数回(集中型)約8.7万人
月1〜2回など、その他約10.0万人

週5日の型なら、全日制と同じくらい人に会います。年数回の型なら、ほとんど会いません。

「友達ができない」は通信制の性質ではなく、選んだ型の性質です。自分がどれくらい人に会いたいかで、型を選びます。

通う日の一日の流れは、通信制高校の時間割と1日で公立の学校の表をもとに書きました。

通う日のほかにも、人と会う場はあります。少ない型を選んでも、人と会う場がなくなるわけではありません。部活と行事です。

通信制でも、行事やホームルームの時間はなくなりません。学習指導要領が、卒業までに30単位時間以上行うと決めています。

定時制・通信制には、専用の全国大会もあります。部活と行事の実例は、通信制高校に部活はある?にまとめました。

中学を出たあとに支えになった人の2番目は、「友人」でした。文部科学省の「不登校経験者等を対象とする調査」に、中学を出たあとの生活を聞いた質問があります。

支えになった人で多かったのは、家族の42.3%でした。次が友人の36.2%です(インターネット調査・複数回答)。

学校に行けなかった時期があっても、その後に友人が支えになった人は少なくありません。友達を作りたい人は、行事や部活の多い学校や型を選ぶと、会う機会が増えます。

途中から転入した人も、クラスや行事に入れるかは学校で違います。見学のときに「転入生はどのクラスに入りますか」と聞いてください。

理由5「不登校の人が行くところ」→ その通りで、多数派

2025年度に通信制に入った人は77,998人です。

そのうち、中3のとき不登校だった人は44,461人でした。

57%、半分より多いです。文部科学省が2026年に公表した調査の数字です。

「不登校だから通信制はやめとけ」と言う人がいます。数字は逆です。不登校だった人が多数派で、学校もそれを前提に作られています。

ただし、残りの43%はそうではありません。どんな人が通っているかは通信制高校ってどんな感じ?にまとめました。

デメリットの裏側を、同じ数字で見る

ここまでは言われる理由を確かめました。同じことを、いい面から見ます。

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言われるデメリット 同じことの裏側 数字
毎日通わないと生活が乱れる通う回数を選べる週5が12.5%、週1が12.3%、年数回の集中型が28.9%
学費が高い授業料はほとんど残らない2026年度から所得制限なし。私立通信制は年33万7,200円まで
学力がつかない入口で学力では落とされない公立11校の要項で、新入学の学力検査は0校
途中から入りにくい転入なら卒業がずれない前の学校の在学期間が3年に通算される
相談する人がいない公立はほぼ全校にいるスクールカウンセラーの体制は公立98.8%

同じ制度を、どちら側から見るかの違いです。通う回数が少ないことは、自由にも放置にもなります。

だから「メリットとデメリットのどちらが多いか」を数えても、答えは出ません。決まるのは、自分がどちらに転ぶかです。

入試に学力検査がないことは、通信制高校の入試で公立11校を数えました。

学費の計算の仕方は通信制高校の学費はいくら?に書きました。

転入で卒業がずれない仕組みは通信制高校の転入・編入はいつまで?にあります。

ただし表の右側は、どの学校でも同じではありません。カウンセラーの体制は、私立だと79.7%に下がります。

専任の先生の割合も、公立と私立で差があります。公立はおよそ7割、私立はおよそ4割です。

つまり「通信制のメリット」ではなく「その学校のメリット」で見てください。次はその見分け方です。

やめたほうがいい学校の、3つの印

ここからが、この記事の中心です。合わない学校には、3つの印があります。

印1:通う回数が、自分に合っていない

通う型は、大きく分けて7種類あります。

  • 週5日、週4日、週3日、週2日、週1日
  • 年に数回だけ通う集中型
  • 月1〜2回など、その他

さっきの「一日も登校しなかった生徒」を、型ごとに見ると偏りがあります。約半分が、年に数回の集中型でした。

週2日以上通う型では、合わせて646人です。

これには、二つの読み方があります。一つは、集中型は自分で進める力が要るということ。もう一つは、通えない事情がある人が、もともと集中型を選ぶということ。

どちらも当たっています。

だから、聞くことは1つです。来られなくなったとき、学校は誰がどう連絡してくれるのか。通えない事情がある人ほど、この仕組みで続くかどうかが決まります。

印2:相談できる人がいない

スクールカウンセラー(相談の専門職)に相談できる学校は、公立でほぼ全部です。私立は約8割で、残りの2割にはその体制がありません。

担任の先生が、その学校だけで働く専任かどうかも違います。専任の教員は、公立で約7割、私立で約4割です。残りは、ほかの学校や施設と兼ねています。

兼任が悪いわけではありません。ただ、困った日に、その場にいる先生がいるかどうか。聞いておく価値があります。

印3:数字を出さない

去年、何人が卒業して、何人がやめたか。先生は何人いるか。文部科学省の調査では、この2つを公表していない学校が多いと書かれています。

数字を出さない学校が、悪い学校とは限りません。ただ、見分ける材料がありません。聞いて答えてくれる学校のほうが、判断しやすいです。

「必ず卒業できる」「卒業率100%」を前に出す学校は、注意です。確かめる項目が残っています。

「向いてない人」はいるのか

「通信制 向いてない人」で調べる方がいます。自分や子どもが続けられるか、不安だからだと思います。

ここまでは学校の側の話をしてきました。今度は人の側から見ます。

通信制で全員に共通して必要なものは、2つだけです。

1. レポートを月4〜5回のペースで出すこと

卒業に必要な単位ぶんのレポートは、162回から202回になります。

3年で割ると、ほぼ毎週1回以上です。

これは学校を変えても減りません。通信制である以上、避けられない部分です。

中学の勉強が抜けていても、学び直しを科目に入れる学校はあります。通信制高校の勉強に数字をまとめました。

回数の計算は通信制高校のレポートは何回書くのかに書きました。

2. スクーリングの日に、その場所へ行くこと

面接指導は、決まった日に決まった場所で受けます。オンラインだけで完結する学校はありません。

ただし重さは教科で違います。

体育のスクーリングは、1単位あたり5単位時間です。

国語や数学は、1単位あたり1単位時間です。

通うのがつらい時期なら、レポート中心の科目を先に取るという組み方ができます。

それ以外は、学校で選べる

この2つ以外は、かなり幅があります。

項目 幅
通う回数週5日から年に数回まで
制服ない学校と、4つの型がある
部活ない学校と、全国大会に出る学校がある
卒業までの年数3年で出るのは全国で47%

つまり「向いていない」と決める前に、型を変える余地があります。

週5日の学校が合わなかった人に、年数回の学校が合うことがあります。その逆もあります。

関連する記事をまとめておきます。

ひとつだけ、代われない部分がある

正直に書いておきます。レポートを自分で進める部分は、誰にも代われません。

ここが難しいなら、サポート校を足すか、通う回数の多い型を選ぶことになります。どちらもお金か時間がかかります。

「向いていない」のではなく、「支えを足す必要がある」と考えたほうが、次の一手が出てきます。

サポート校の中身は通信制高校とサポート校の違いに書きました。

入学する前に、学校に聞く5つの質問

入学する前に学校に聞く5つの質問。通う回数と会場、来られなくなったときの連絡、スクールカウンセラー、担任が専任か、去年の卒業者数と退学者数。卒業率100%を前に出す学校は注意
見学や説明会で、この5つを聞いてください。答えが返ってくるかどうかも、判断の材料です。
  1. 登校は週に何回? 年に何回? 会場はどこ? 自分が通える回数と、通える場所か。
  2. 来られなくなったとき、誰がどう連絡してくれる? 電話か、オンラインか、担任か。
  3. スクールカウンセラーに相談できる? 曜日は? 「いる」だけでなく、いつ会えるか。
  4. 担任の先生は、この学校だけの専任? 困った日に、その場にいるか。
  5. 去年、何人が卒業して、何人がやめた? 答えない学校より、答える学校。

全部を聞かなくても構いません。質問1と質問5だけでも、学校の姿勢は分かります。

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「やめとけ」と言った人に、どう答えるか

言った人は、たぶん昔の通信制を思い浮かべています。この10年で、大学に進む人は2.6倍になりました。

答えは、短くて構いません。

「入る人の半分以上は、中3で不登校だった人。自分に合う型の学校を選ぶ」。それで足ります。

相手を説得する必要はありません。

親御さんが読んでいるなら、この記事を本人に渡すより早い方法があります。上の5つの質問を、一緒に学校へ聞きに行くことです。

まとめ

  • 「やめとけ」が当たるのは、通信制ではなく、合わない学校
  • デメリットの裏側は同じ数字で説明できる。多いか少ないかを数えても答えは出ない
  • 見分けるのは「通う回数」「相談できる人」「数字を出すか」の3つ
  • 入学前に、学校に5つの質問をする。答えが返ってくるかも材料

出典

  • 文部科学省「令和7年度通信制高等学校実態調査に関する調査結果について」(2026年4月21日公表)。学校数323校、入学者77,998人のうち中3で不登校44,461人(57%)、通学頻度別コースの生徒数、面接指導に1日も来ていない生徒8,097人(2.6%)とコース別の内訳、スクールカウンセラーの体制(公立98.8%・私立79.7%)、専任教員の割合(公立68.9%・私立40.1%)、情報公開の状況
  • 文部科学省「不登校経験者等を対象とする調査」(令和7年、委託先:有限責任監査法人トーマツ)。中学卒業以降に励ましや支えになった人(インターネット調査):家族42.3%、友人36.2%
  • 高等学校学習指導要領 第1章総則。通信制の課程の特別活動は、ホームルーム活動を含めて卒業までに30単位時間以上
  • 文部科学省委託調査「定時制・通信制の課程を置く高等学校について(令和5年度)」。通信制の1校あたり退学者割合(令和4年度間・平均4.2%、0〜25%)
  • 文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2025年10月29日公表)。高校の中途退学率1.4%
  • 文部科学省「学校基本調査」各年度(リクルート進学総研集計、2025年4月)。通信制の卒業者の進路、生徒数の推移、大学進学者の増加
  • 文部科学省「高等学校等就学支援金・新制度の概要」(2026年6月16日)。私立通信制の支給上限33万7,200円
  • 文部科学省「高等学校等就学支援金」2026年度の拡充(所得制限なし、私立通信制は年33万7,200円まで)
  • 公立11校の令和8年度 入学者選抜要項。新入学の学力検査は0校(当サイト集計)
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杉野 一樹(ペンネーム)
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不登校・進路情報編集者
「みちほどき」運営者。 不登校や学校に行きづらくなった子どもと保護者に向けて、出席扱い、学習支援、フリースクール、通信制高校、高卒認定、進学・就職などの情報を発信しています。 専門家や当事者としてではなく、文部科学省や自治体、学校などが公開する情報を確認し、制度や選択肢をわかりやすく整理することを大切にしています。 「学校に戻る」だけではない、その子に合った次の道を考えるための情報サイトを目指しています。
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