通信制高校

通信制高校ってどんな感じ? 30万人が誰なのかを、国の統計で見る

杉野 一樹

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通信制高校って、どんな人が通っているのか。うちの子は浮かないか。

そういう人に向けて書きます。

先に答えです。「通信制の生徒像」は1つではありません。公立と私立で、通っている人がまるで違います。

この記事で分かること
  • 通信制に通う人は305,197人。高校生全体の9.6%で、10.4人に1人
  • 20歳以上の割合は、公立27.7%に対して私立1.6%。同じ通信制でも中身が違う
  • 入学者の57.0%は中3のとき不登校。残りの43%はそうではない
  • 相談体制は学校で違う。スクールソーシャルワーカーは私立の8割にいない
  • 「発達障害の生徒が何%か」の全国統計は、国が毎年は数えていない

先に答え:高校生の9.6%。学年が上がるほど増える

国の学校基本調査の確定値で、通信制高校に在籍していたのは305,197人でした。

高校生は全部で3,178,816人でした。全日制・定時制の2,873,619人に、通信制を足した数です。

学校ごとの在籍数は、通信制高校の人気校ランキングで多い順に並べました。

通信制はそのうち9.6%で、ほぼ1割です。

年齢の内訳を見ると、もう1つ分かることがあります。

年齢 生徒数
15歳66,097人
16歳86,695人
17歳99,763人

学年が上がるほど増えています。

いちばん下の年齢と上の年齢では、33,666人の差があります。

高校1年から通信制にいる人より、途中から来た人のほうが多いということです。転入・編入は例外ではありません。

公立と私立で、通っている人がまるで違う

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。

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区分 15〜17歳 20歳以上
公立(62,008人)48.6%27.7%
私立(243,189人)91.5%1.6%

公立は、20歳以上の人が3割近くいます。

私立では、1.6%しかいません。

公立の通信制は、戦後から働きながら学ぶ人を受け入れてきました。その形が今も残っています。40代・50代の在籍者もいます。

働きながら通う場合の時間の使い方は、通信制高校とアルバイトにまとめました。

私立は、中学を出てそのまま入る人がほとんどです。年齢は全日制とあまり変わりません。

「通信制はどんな感じか」の答えは、公立と私立で分かれます。見学に行く前に、どちらの話なのかを確かめてください。

男女では、女のほうが多い

在籍者のうち、女は163,487人で53.6%でした。

男は141,710人です。

全日制はほぼ半々です。通信制は女のほうがやや多くなっています。

入学者の57.0%は、中3のとき不登校だった

文部科学省が2026年4月に公表した実態調査の数字です。

2025年度に通信制へ入学したのは77,998人でした。

そのうち中学3年生のときに不登校だった人は、44,461人です。

57.0%です。ここも設置者で差があります。

設置者 中3で不登校だった割合
公立53.5%
私立56.6%
株式会社立65.4%

不登校だった人が多数派なのは事実です。ただ、43%はそうではありません。

部活のケガ、家の事情、留学、海外からの帰国、体調。理由はいろいろです。

「うちの子だけ違う」という心配は、数字の上ではあまり当たりません。

いつからあって、なぜ増えているのか

始まりは1948年。働きながら学ぶ人のための仕組みだった

文部科学省の会議資料に、通信制高校の制度の経緯がまとめられています。

年 できごと
1948年学校教育法の施行とともに、高校の通信教育が始まる。最初は国語の1教科だけ
1955年通信教育だけで、高校を卒業できるようになる
1962年「通信制の課程」ができる。本校だけの独立校と、広域通信制も制度になる
1989年卒業までの年数が「4年以上」から「3年以上」になる
2003年構造改革特区で、株式会社が学校を作れるようになる

資料によると、通信制は戦後に作られた仕組みです。働くために全日制へ進めない若者が対象でした。

7年で11万人増えた。高校生全体は減っている

国の学校基本調査から、2つの年度を並べました。新しいほうは、8月に公表された速報の数字です。

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項目 2019年度 2026年度
通信制の学校数253校358校
通信制の生徒数19万7,696人31万1,792人
うち私立の生徒14万1,323人25万220人
全日制・定時制の生徒数316万8,369人284万5,117人

高校生全体が減るなかで、通信制だけが増えています。2026年度の通信制の生徒数は、過去最多でした。

増えた生徒の95%は、私立の学校です。学校の数も、私立が100校増えました。

新しい速報の数字で計算しても、高校生のおよそ10人に1人が通信制です。

増えている理由:国の資料に書かれていること

増えた理由を1つに決めた国の統計は、ありません。ただ、国の資料には次のように書かれています。

働きながら学ぶ若者は減った一方で、生徒の姿が変わったという内容です。

  1. 全日制から進路を変えて、転入・編入してくる人
  2. 中学校までに不登校を経験した人
  3. 以前に高校で学ぶ機会がなかった人

数字もそろっています。中学校の不登校の生徒は、5年で1.7倍になりました。

年度 中学校の不登校の生徒
2019年度12万7,922人
2024年度21万6,266人

そして上の節のとおり、通信制の入学者の57.0%は中3のとき不登校でした。不登校を経験した中学生の進路として、通信制が選ばれていると読めます。

「うちの子だけ浮くのでは」という心配について

この心配に、統計はうまく答えられません。国が数えているのは年齢、性別、不登校だったかどうか、履修状況までだからです。

性格や学力で生徒を分けた統計は、ありません。

代わりに言えることが2つあります。

入学する人の43%は中3で不登校ではありません。

そして卒業後は、約74%が進学か就職をしています。

「特別な人が行くところ」という前提は、数字では支えられません。

「発達障害の生徒は何%か」は、国が毎年は数えていない

ここは正直に書きます。この数字を探しても、最新の全国統計は見つかりません。

文部科学省が毎年やっている通信制高校の実態調査に、この項目はありません。学校数、入学者、不登校経験、スクーリングの状況は調べています。ただ、障害や診断は調べていません。

使える数字は、2016年度の委託調査まで戻ります。古い調査ですが、参考として載せます。

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項目 狭域通信制 広域通信制
特別な支援を必要とする生徒11.8%3.0%
心療内科等に通院歴のある生徒11.0%4.8%
ひとり親家庭の生徒26.9%18.7%

狭域は2県までで募集する学校、広域は3県以上で募集する学校です。

公立は、ほとんどが狭域にあたります。

数字が古いので、そのまま今に当てはめないでください。10年前の調査です。

では、何を見ればいいのか。次の節に書きます。

知的障害のある子は、高校の「通級」の対象に入っていない

高校には、障害に応じた特別の指導を別の時間に受ける「通級による指導」があります。対象は、学校教育法施行規則の第140条に並んでいます。

  • 言語障害者
  • 自閉症者
  • 情緒障害者
  • 弱視者
  • 難聴者
  • 学習障害者
  • 注意欠陥多動性障害者
  • その他障害のある者で、特別の教育課程による教育が適当なもの

この並びに、知的障害は入っていません。高校の通級の対象としては挙げられていない、ということです。

知的障害のある子の進路には、特別支援学校の高等部があります。学校教育法の第72条に、知的障害者などに高等学校に準ずる教育を行うと書かれています。

通信制高校に入ること自体は、中学校を卒業していれば妨げられません。ただし、学習は自分で進める部分が多くなります。

見学のときは、個別の相談にどこまで対応できるかを聞いてください。相談体制の数字は、次の節に載せました。

数字がない代わりに、確かめられること

配慮が必要かもしれないと思ったら、その学校に相談の体制があるかを聞いてください。これは最新の調査に出ています。

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相談体制 公立 私立
スクールカウンセラー98.8%79.7%
スクールソーシャルワーカー91.4%19.4%

私立の20.3%は、スクールカウンセラーに相談できる体制がありません。スクールソーシャルワーカーにいたっては、私立の8割にいません。

スクールソーシャルワーカーは、家庭や福祉の窓口とつなぐ役割です。学校の中の話だけでは解決しないときに要る人です。

学費や通学の形より、ここを先に聞いたほうがいい家庭があります。

在籍していても、履修していない人がいる

もう1つ、数字で見える現実を書きます。

在籍している人のうち、実際に科目を履修していたのは93.5%でした。人数は285,325人です。

これも公私で割れます。

区分 履修していない人の割合
公立25.6%
私立1.6%

公立では15,893人が、在籍しているけれど科目を取っていません。

理由は統計に書かれていません。ただ、公立は在籍だけ続けている人を抱えやすい形になっています。年齢の幅が広いことと、たぶん関係しています。

在籍者数だけを見て「人がいる学校」と判断しないでください。動いている人数は別です。

注意

注意:「うちは不登校の子が多いので安心です」で説明が終わる学校は、確かめる項目が残っています。相談できる人が誰か、その人が週に何日いるかまで聞いてください。

通信制高校の見学前に確かめる4つ。公立か私立か、途中入学が多いこと、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの体制、実際に単位を取っている人の割合
見学の前に確かめる4つ。公立か私立か、相談できる人、動いている人数。

見学の前に聞く4つ

  1. 公立ですか、私立ですか。年齢層がまったく違います
  2. スクールカウンセラーは週に何日いますか。「体制がある」と「常にいる」は別です
  3. スクールソーシャルワーカーはいますか。福祉の窓口とつなぐ役割です
  4. 在籍者のうち、実際に単位を取っている人は何%ですか。答えられる学校を選びます

学校の探し方そのものは近くの通信制高校はどう探す?に書きました。

まとめ

  • 通信制は305,197人で高校生の9.6%。学年が上がるほど増える=途中から来る人が多い
  • 公立は20歳以上が27.7%、私立は1.6%。「通信制の生徒像」は1つではない
  • 入学者の57.0%は中3で不登校。ただし43%はそうではない
  • 通信制は1948年に始まった。2026年度は31万1,792人で過去最多。高校生全体が減るなかで増えている
  • 発達障害の全国統計は毎年は取られていない。代わりにSC・SSWの体制を聞く
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出典

  • 文部科学省「令和7年度学校基本調査」学校通信教育調査(高等学校)表158「年齢別生徒数」(2025年12月26日公表、e-Stat)。通信制の生徒数305,197人、男141,710人・女163,487人、公立62,008人・私立243,189人、年齢別の内訳、履修者数(実数)285,325人
  • 文部科学省「令和7年度学校基本統計(確定値)」(2025年12月26日公表)表1。高等学校の在学者数2,873,619人
  • 高校生全体に占める通信制の割合(9.6%)、年齢構成の公私比較、履修していない人の割合は、上記2つから当サイトが計算
  • 文部科学省「令和7年度通信制高等学校実態調査に関する調査結果について」(2026年4月21日公表)。令和7年度入学者77,998人のうち中3で不登校だった生徒44,461人(57.0%)、設置者別53.5%・56.6%・65.4%、スクールカウンセラーに相談できる体制を整えている学校の割合(公立98.8%・私立79.7%・全体84.5%)、スクールソーシャルワーカー(公立91.4%・私立19.4%・全体38.4%)
  • 文部科学省「令和8年度学校基本調査の公表について(速報)」(2026年8月26日)。高等学校(通信制)311,792人(前年度より6,595人増、過去最多)、358校(公立83・私立275)、公立61,572人・私立250,220人、高等学校(全日制・定時制)2,845,117人
  • 文部科学省「高等学校教育の現状について」(令和2年10月)。令和元年度の通信制253校(公立78・私立175)、生徒数197,696人(公立56,373・私立141,323)、全日制3,086,434人・定時制81,935人
  • 文部科学省 通信制高等学校の在り方に関する調査研究協力者会議「広域通信制高等学校 基礎資料1」(2016年)。通信制高等学校に関する制度の経緯(昭和23年〜平成18年)、生徒像の変化(中央教育審議会高等学校教育部会 平成25年5月資料より)
  • 文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」。中学校の不登校生徒数(令和元年度127,922人、令和6年度216,266人)
  • 増加の割合(私立が95%、およそ10人に1人)は上記から当サイトが計算
  • 学校教育法施行規則 第140条(通級による指導の対象)、学校教育法 第72条(特別支援学校の目的)(e-Gov法令検索)
  • 「定時制・通信制高等学校における教育の質の確保のための調査研究」報告書(平成29年度文部科学省委託事業、調査は平成28年度)。特別な支援を必要とする生徒11.8%・3.0%、心療内科等に通院歴のある生徒11.0%・4.8%、ひとり親家庭の生徒26.9%・18.7%
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杉野 一樹(ペンネーム)
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不登校・進路情報編集者
「みちほどき」運営者。 不登校や学校に行きづらくなった子どもと保護者に向けて、出席扱い、学習支援、フリースクール、通信制高校、高卒認定、進学・就職などの情報を発信しています。 専門家や当事者としてではなく、文部科学省や自治体、学校などが公開する情報を確認し、制度や選択肢をわかりやすく整理することを大切にしています。 「学校に戻る」だけではない、その子に合った次の道を考えるための情報サイトを目指しています。
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