通信制高校と高卒認定。どちらか一方ではなく、単位は行き来できます
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「通信制に行くか、高卒認定を取るか」。どちらかを選ぶ話として語られることが多いテーマです。
先に答えを2つ書きます。高卒認定に受かっても、学歴は高卒になりません。得られるのは大学入学資格です。
そしてもう1つ。高認と高校は、単位を行き来できます。どちらか一方ではありません。
この記事では、法令の条文と文部科学省の実績データで整理します。

高認で得られるのは「大学入学資格」
高卒認定試験は、正式には高等学校卒業程度認定試験といいます。
学校教育法施行規則の第150条を見てください。大学入学に関して「高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者」が並んでいます。
その5号に高認の合格者が入っています。
つまり認められるのは「同等以上の学力がある」ことです。高校を卒業したこと自体にはなりません。
この差が出るのは、たとえば就職のときです。大学受験では同じ扱いでも、履歴書の学歴欄の書き方は変わります。
就職のときに何が効くかは通信制高校から就職は不利?にまとめました。
受験できるのは、その年度の終わりまでに満16歳以上になる人です。高校に在籍している人も受けられます。試験は年2回です。
もうひとつあります。全科目に合格して17歳になった人は、大学の飛び入学の対象になります。
「高校に2年以上在学した者に準ずる者」として扱われる、という形です。
根拠は同規則第154条6号です。
令和7年度は16,820人が受けて、7,937人が受かった
文部科学省が回ごとに実績を公表しています。
試験の日程・科目・受験料は高卒認定試験の日程・科目・受験料にまとめました。
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| 出願 | 受験 | 合格 | |
|---|---|---|---|
| 令和6年度 計 | 17,629人 | 15,585人 | 7,748人 |
| 令和7年度 第1回 | 9,605人 | 8,493人 | 3,992人 |
| 令和7年度 第2回 | 9,445人 | 8,327人 | 3,945人 |
| 令和7年度 計 | 19,050人 | 16,820人 | 7,937人 |
受験16,820人に対して合格7,937人です。
合格率は47.2%です。
ここでいう「合格」は、すべての科目に合格して大学入学資格を取った人のことです。一部の科目だけ受かった人は含みません。
年齢も公表されています。令和7年度第1回の数字です。
- 受験者:8,493人
- うち16〜18歳:4,863人(57.3%)
合格者で見た数字は次のとおりです。
- 合格者:3,992人
- うち16〜18歳:2,528人(63.3%)
- 合格者の平均年齢:20.9歳
上のほうも幅があります。受験者の最高年齢は88歳、合格者の最高年齢は76歳です。
合格者の半分は高校中退。通信制に通いながら受かった人も
同じ資料に、令和7年度第1回の合格者の最終学歴が載っています。
合格者は3,992人です。
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| 最終学歴 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 高校中退 | 2,181人 | 54.6% |
| 全日制高校在学 | 601人 | 15.1% |
| 定時制・通信制高校在学 | 500人 | 12.5% |
| 中学校卒業 | 396人 | 9.9% |
このほかは次のとおりです。
- その他:245人(6.1%)
- 高専中退:69人(1.7%)
いちばん多いのは高校中退です。第2回の数字は次のとおりです。
- 高校中退:1,658人(42.0%)
注目してほしいのは3行目です。定時制・通信制高校に在学したまま合格した人が500人います。
第2回も486人でした。
合わせると、年間で約986人が「通信制などに通いながら高認に受かって」います。
つまり実際には、どちらか一方を選ぶのではなく、両方を使っている人がいるということです。
単位は行き来できる
なぜ両方を使えるのか。制度が双方向になっているからです。
高認の合格科目 → 高校の単位になる
学校教育法施行規則の第100条に、こう書かれています。
「校長は、教育上有益と認めるときは…生徒が行う次に掲げる学修(当該生徒が入学する前に行つたものを含む。)を当該生徒の在学する高等学校における科目の履修とみなし、当該科目の単位を与えることができる。一 高等学校卒業程度認定試験規則…の定めるところにより合格点を得た試験科目…に係る学修」
読みどころが2つあります。
1つ目。高認で合格した科目を、高校の単位として認めることができます。
2つ目。「入学する前に行つたものを含む」とあります。通信制に入る前に取った高認の科目も対象になりえます。
ただし「できる」という書き方です。認めるかどうかは校長の判断なので、入学前に学校へ確認してください。
単位の取り方そのものは通信制高校のレポートは何回書くのかに書きました。
高校の単位 → 高認の科目免除になる
逆も用意されています。文部科学省の「免除要件」です。
在籍していた高校で「単位修得証明書」を作ってもらい提出すると、高認の試験科目の一部が免除されます。
高校を途中でやめた人も、通信制に通っている人も使えます。すでに取った単位のぶんは、受け直さなくていいということです。
ひとつ注意があります。単位修得証明書は、時間が経つと学校が発行できないことがあります。文科省も「保存年限の経過により学校によっては発行ができない場合があります」と書いています。
やめた学校から証明書を取るなら、早いほうが確実です。
出願のときに何を出すかは高卒認定の申し込みは郵送だけにまとめました。
全科目を免除にしても、合格にはならない
免除について、見落としやすい決まりがあります。文科省の免除要件のページに書かれています。
「全ての科目の免除を受けて、合格者となることはできません。最低1科目以上を受験し、合格する必要があります」
つまり「単位だけで高認を取る」ことはできません。必ず1科目は試験を受けて合格する必要があります。
免除で科目を減らして、残り1科目に集中する。そういう使い方になります。
残った科目の準備は、公開されている過去問から始められます。場所と掲載のルールは高卒認定の過去問は文部科学省が無料で公開にまとめました。
規模で見ると、高認は通信制の10分の1
最後に大きさを比べます。
高認の合格者は、令和7年度で7,937人でした。
一方、通信制高校を卒業した人は2024年度で84,450人です。
高認の合格者は、通信制の卒業者のおよそ10分の1ということになります。
これは「高認が劣っている」という話ではありません。高認は人数の少ない道だ、という事実です。
情報も少なくなります。周りに経験者がいないことが多いので、手続きは自分で調べることになります。
通信制のほうは学校が手続きを進めてくれます。
卒業したあとの進路は通信制高校は人生終わり?に、大学進学は通信制高校から大学進学は難しい?にまとめました。
どちらを選ぶか
ここまでの内容を、確かめる順に並べました。

順番はこうです。まず、必要なのが学歴か大学入学資格かを分ける。次に、いま持っている単位を数える。
そのうえで、通信制に入って高認も使う道があることを覚えておいてください。年間約986人がその形です。
確かめること
- やめた学校で単位修得証明書は出ますか
- 高認の合格科目を単位にしてもらえますか
- 免除を使うと、受ける科目は何科目になりますか
- 応募したい仕事は、学歴の条件がありますか
まとめ
通信制高校と高卒認定について、調べてわかったことを並べます。
高認で得られるのは大学入学資格です。学歴が高卒になるわけではありません。
令和7年度の結果は次のとおりです。
- 受験:16,820人
- 合格:7,937人
- 合格率:47.2%
合格者の半分は高校中退で、定時制・通信制に在学したまま合格した人も年間約986人いました。
高認の合格科目は高校の単位にできます。入学前に取ったものも対象になりえます。
逆に、高校で取った単位で高認の科目免除も受けられます。ただし全科目を免除にして合格することはできません。
高認の合格者は年7,937人、通信制の卒業者は年84,450人です。高認は人数の少ない道です。
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制度の根拠は次のとおりです。
- 学校教育法施行規則第100条・第150条・第154条
- 文部科学省「高等学校卒業程度認定試験」の免除要件
数字の出どころは次のとおりです。
- 実績:文部科学省「令和7年度第1回・第2回 高等学校卒業程度認定試験実施結果」
- 通信制の卒業者数:学校基本調査(2024年度)

