通信制高校

通信制高校から就職は不利? 不利になるのは履歴書ではなく「学校斡旋の枠」。採用する側に20年いる立場で書く

通信制高校から就職。不利は履歴書ではなく斡旋の枠。分かれ道の前に立つ親子のイラストにタイトルを載せたアイキャッチ
杉野 一樹

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「通信制からだと就職は不利」と聞いた。履歴書に通信制と書くのか。そもそも学歴になるのか。

そういう人に向けて書きます。

先に答えです。不利になる場面は、履歴書にはありません。あるとすれば「学校斡旋の枠」です。

そして、この記事の途中から、運営者が採用の現場に20年いる立場で書きます。

この記事で分かること
  • 通信制を卒業した人の19.5%が就職している。高校全体の13.8%より高い
  • 高校新卒の就職は「学校斡旋」で動く。求人49.9万人、求職者12.1万人、内定率98.9%。この枠に乗れるかは学校次第
  • 履歴書は2025年の改訂で「在籍校」欄に学校名を書くだけ。課程を書く欄はない。通信制卒は高卒
学校に行かなくなったあとの4つの段階。いま、学び直し、進路、その先。この記事は「その先」の段階
学校に行かなくなったあとの4つの段階。この記事は「その先」の話です。

先に答え:不利は履歴書にはない。学校斡旋の枠にある

通信制高校を卒業すれば、学歴は「高等学校 卒業」です。全日制と同じです。履歴書で不利になることはありません。

では、どこに差があるのか。高校新卒の就職は、学校とハローワークを通す特別な仕組みで動いています。この仕組みに乗れるかどうかが、学校で違います。

乗れなくても、道はあります。順に書きます。

数字:通信制卒の19.5%が就職。高校全体は13.8%

通信制を卒業した人のうち、就職した人は19.5%です。

2024年度中に卒業して就職した人は、17,893人でした。

高校全体の就職の割合は、13.8%です。

割合だけ見れば、通信制のほうが高いです。大学に進む人が少ない分、就職を選ぶ人が多いからです。

「就職できない」は、数字の上では合っていません。全体の進路は通信制高校は人生終わり?卒業した9万人が、そのあとどうなったかに書きました。

高校新卒の就職は「学校斡旋」で動く

厚生労働省が、高校新卒の就職を毎年まとめています。2026年3月卒の数字です。

項目 2026年3月末
求人数約49万9,000人分
求職者数約12万1,000人
就職内定者約12万人
内定率98.9%
求人倍率4.12倍

この数字の対象は「学校やハローワークからの職業紹介を希望した生徒」です。つまり、学校を通して応募した人です。高校の卒業者は約92万人なので、この仕組みを使うのは約13%です。

仕組みに乗れば、求人は4倍あり、ほぼ全員が内定します。求人票は学校に届き、先生が生徒に紹介し、学校を通して応募します。

この仕組みは、全日制の進路指導室を中心に回っています。通信制でも使えます。ただ、求人票が届く量と、紹介する先生の体制が学校で違います。

ここが、通信制で差が出る唯一の場所です。

履歴書:2025年の改訂で「在籍校」欄に学校名を書くだけ

高校新卒の履歴書は、全国で同じ様式です。「全国高等学校統一応募用紙」といいます。文部科学省と厚生労働省と全国高等学校長協会が決めています。

この用紙は、2025年2月に改訂されました。

2026年3月に卒業する人から使われています。変わった点はこうです。

  • 「性別」欄を削除
  • 「学歴・職歴」欄を「在籍校」欄と「職歴」欄に分けた。在籍校欄には、卒業見込み・卒業の高校を書く
  • 「趣味・特技」欄を削除
  • 「志望の動機」欄を「志望の動機・アピールポイント等」欄に変更

在籍校欄に書くのは学校名です。全日制か通信制かを書く欄はありません。

「通信制と書くべきか」と迷う必要はありません。学校名を書けば終わりです。

学校を通さない一般応募でも、履歴書の学歴欄は「◯◯高等学校 卒業」です。転入した人は、前の学校も書きます。「◯◯高等学校 入学、△△高等学校 転入学、同校 卒業」の形です。

採用する側から見えるもの

ここから、運営者が採用の現場に20年いる立場で書きます。書くのは「働く場面でどう見えるか」だけです。学校選びや勉強法には広げません。

採用の現場では、履歴書の学歴で全日制か通信制かを見ていません。在籍校欄に学校名があれば、高卒として扱います。

学校名で通信制と分かることはあります。それを理由に落とす会社は、中途採用と一般応募では見たことがありません。

面接で聞くのは「なぜ通信制なのか」ではありません。「高校のあいだ、何をしていたか」です。

アルバイト、資格、制作、部活、家の手伝い。どれでも構いません。部活の実際は通信制高校の部活にまとめました。

何もしていない時期があっても、そのあと始めたことを1つ話せれば足ります。3年間について何も話せないことのほうが、通信制であることより、面接では残ります。

もう1つ、採用する側が見ているのは「続くか」です。ここは、次の節で数字を出します。

続くか:高卒の3年以内離職は37.9%。業種で差が出る

厚生労働省の調査があります。

高校を出て就職した人のうち、3年以内に辞めたのは37.9%でした。

2022年3月に卒業した人の数字です。

大学を出た人は、33.8%です。

差が大きいのは、課程ではなく業種です。高卒で最も離職率が高いのは、宿泊業・飲食サービス業で64.7%です。

「続くか」は、通信制か全日制かより、どの業種に入るかで変わります。求人票を見るときは、給料より先に、その業種の離職率を見てください。厚生労働省のサイトに産業別の数字があります。

学校斡旋に乗れないとき

学校に求人票が少ない、紹介の体制がない。そういうときの道は3つです。

  1. ハローワークの新卒応援窓口。高校新卒の求人は、学校を通さなくても見られます。担当者が付きます
  2. 一般応募。求人サイトや会社のサイトから直接応募します。履歴書は市販の様式で、学歴欄は「◯◯高等学校 卒業」
  3. 通信制高校の就職支援。就職に力を入れている学校は、斡旋の実績を数字で出します。入学前に聞けば分かります

中退したまま就職する場合の書き方と入口は、高校中退後の履歴書と就職にまとめました。

どの道でも、卒業の見込みが立っていることが前提です。卒業できるかどうかの見分け方は通信制高校はやめとけ? 言われる理由5つを数字で確かめて、やめたほうがいい学校の見分け方に書きました。

入学前に聞く5つ

就職を考えて通信制を選ぶなら入学前に聞く5つ。去年の学校斡旋の就職人数、ハローワークの高卒求人を学校で見られるか、履歴書と面接練習の指導、高校のあいだに続けることを1つ決めたか。通信制でも就職は同じと言うだけで説明がない学校は注意
就職を考えて通信制を選ぶなら、学校斡旋の実績を数字で聞いてください。
  1. 去年、学校斡旋で就職した人は何人ですか。枠に乗れるかが決まります
  2. ハローワークの高卒求人を、学校で見られますか。担当の先生は誰ですか
  3. 履歴書の指導と面接練習はありますか。書き方より、話す中身の練習です
  4. 高校のあいだに続けることを、1つ決めましたか。これは自分に聞く質問です
  5. 「通信制でも就職は同じです」で説明が終わる学校は、確かめる項目が残っています。数字で答える学校を選びます
注意

注意:高卒認定(高等学校卒業程度認定試験)は、大学の受験資格にはなりますが「高校卒業」の学歴にはなりません。就職で高卒として扱われたいなら、通信制を卒業するのが確かな道です。

まとめ

  • 通信制卒は高卒。履歴書は在籍校欄に学校名を書くだけで、課程を書く欄はない
  • 不利が出るのは学校斡旋の枠。求人49.9万・内定率98.9%の仕組みに乗れるかは学校次第
  • 採用する側が見るのは、課程ではなく3年間と続くか。続くかは業種で決まる
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出典

  • 厚生労働省 令和7年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」取りまとめ(令和8年3月末現在)。求人数約49万9千人、求職者数約12万1千人、就職内定者約12万人、就職内定率98.9%、求人倍率4.12倍。対象は学校やハローワークからの職業紹介を希望した生徒
  • 新潟労働局・ハローワーク「全国高等学校統一応募用紙(履歴書)が改訂されました」(令和7年2月改訂、令和8年3月卒業者から使用)。性別欄の削除、「在籍校」欄と「職歴」欄への分離、趣味・特技欄の削除、志望の動機・アピールポイント等欄
  • 文部科学省「令和7年度学校基本調査」卒業後の状況調査(高等学校 通信制)表297「状況別卒業者数」(2025年12月26日公表、e-Stat)。2025年3月卒業者91,809人のうち就職者17,893人(19.5%)
  • 文部科学省「令和7年度学校基本調査」(2025年12月26日公表)。高校卒業者に占める就職者の割合13.8%
  • 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」(令和4年3月卒業者、2025年10月24日公表)。高卒の3年以内離職率37.9%、大卒33.8%、宿泊業・飲食サービス業64.7%
  • 「採用する側から見えるもの」の節は、運営者が採用業務に20年携わってきた経験によるもので、統計ではありません
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杉野 一樹(ペンネーム)
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不登校・進路情報編集者
「みちほどき」運営者。 不登校や学校に行きづらくなった子どもと保護者に向けて、出席扱い、学習支援、フリースクール、通信制高校、高卒認定、進学・就職などの情報を発信しています。 専門家や当事者としてではなく、文部科学省や自治体、学校などが公開する情報を確認し、制度や選択肢をわかりやすく整理することを大切にしています。 「学校に戻る」だけではない、その子に合った次の道を考えるための情報サイトを目指しています。
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