通信制高校

通信制高校への転入の費用|就学支援金は「48か月−在学月数×4/3」。高3の10月なら残り8か月。落とした単位も74単位から引かれる

杉野 一樹

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全日制の高校から、通信制高校に移りたい。高2や高3の途中で移ると、費用はどうなるのか。

そういう方に向けて書きます。

先に答えです。転入しても、授業料を支援する就学支援金は続きます。ただし、前の学校にいた期間のぶん、残りが減ります。

国の事務処理要領に、計算式があります。

計算すると、高3の秋に移った場合、支援金が出るのは残り8か月です。

計算の中身と、費用が増えやすい場面を順に書きます。

この記事で分かること
  • 全日制から通信制に移ると、支援金の残りは「48か月−前の学校の在学月数×4/3」
  • 単位で払う学校では、「74単位−前の学校で履修した単位」も上限になる
  • 落とした単位も74単位から引かれる。取り直しの授業料が、支援の外に出やすい
  • 前の学校で「受給資格消滅通知書」と、履修した単位数の証明をもらう

先に答え:費用の差は、支援金の「残り」で出る

通信制高校の授業料は、国の就学支援金でほぼ賄えます。私立の通信制は、年33万7,200円まで支援されます。

制度の全体は通信制高校の学費に書きました。

転入で気にするのは、支援金の「残り」です。支援金には、出る期間と単位数の上限があります。前の学校で使った分は、そこから引かれます。

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上限 全日制 通信制
支援金が出る期間36か月48か月
単位で払う学校の単位数―通算74単位、年30単位まで

通信制は、全日制より期間が長く設定されています。

計算式:前の学校にいた月数を、通信制の月数に直して引く

全日制と通信制では、上限の月数が違います。そこで、全日制にいた月数を通信制の月数に直してから引きます。

文部科学省の事務処理要領にある式は、次のとおりです。

上限 要領の式(全日制から、単位で払う通信制へ)
支援金が出る残りの期間48月 −(前の学校に在学した月数 × 4/3、端数切捨て)
支援の対象の残りの単位74単位 − 前の学校で履修期間を満了した科目の単位数

単位の上限は、1単位ごとに授業料を決める学校にかかります。私立の通信制には、この形の学校があります。

全日制に1年いた場合の計算

要領にも、ほぼ同じ例が載っています。全日制に1年いて、その年の科目を全部履修して移った場合です。

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計算 期間 単位
前の学校で使った分12か月 → 通信制に直して16か月1年分の履修単位(例:30単位)
通信制の上限48か月74単位
残り32か月44単位

1年いただけで、期間は16か月分減ります。

全日制での在学は、通信制の月数に直すと重く数えられるからです。

学年と時期で、残りはこう変わる

全日制で、1年に30単位を履修していた場合で計算しました。途中で休学していない前提です。

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移る時期 前の学校にいた月数 支援金の残り 支援の対象の単位
高2の4月12か月32か月44単位
高2の10月18か月24か月44単位
高3の4月24か月16か月14単位
高3の10月30か月8か月14単位

高2の秋に移っても、単位の残りは春と同じです。年度の途中で終わっていない科目は、単位の計算に入らないからです。

ただし、これは前の学校の履修を引き継がない場合です。全日制の単位数も学校ごとに違うので、自分の数字で計算し直してください。

高3の秋:3月に卒業できれば足りる

この時期に移ると、支援金の残りは8か月です。

同じ年度の3月に卒業できれば、足ります。

卒業が翌年度の9月にずれると、足りなくなります。4か月分は、就学支援金の外です。

卒業の時期は、残りの単位と、学校が単位を認める時期で決まります。通信制高校の転入・編入はいつまで?に書きました。

落とした単位も、上限から引かれる

ここがいちばん見落としやすい点です。要領は、単位の上限について「実際に単位を修得したかを問わない」としています。

つまり、落とした単位も上限から引かれます。一方で、卒業するには、落とした分を取り直す必要があります。

高3の春に移る場合で計算しました。

前の学校で60単位を履修し、そのうち10単位を落としていた例です。

項目 単位
卒業までに取る単位(74 − 修得50)24単位
支援の対象(74 − 履修60)14単位
支援の対象にならない単位10単位

この10単位の授業料は、自分で払う計算です。

学校の授業料 10単位の自己負担
私立で1単位1万円の場合10万円
公立で1単位336円の場合3,360円

単位を落としているなら、移る先に「支援の対象外になる単位の授業料」を聞いてください。

中退してから入り直す場合

高校を退学してから通信制に入り直す場合も、計算の考え方は同じです。前の高校に在学した月数が引かれます。

支援金の期間を使い切っても、卒業まで続けて支援する仕組みがあります。「学び直し支援」です。

国の資料では、通信制は最長24か月まで支援されます。上限は、支援金と同じ額です。

実施するのは都道府県です。条件は、住んでいる都道府県に確認してください。

手続き:前の学校でもらう書類

支援金は、移った先の学校で改めて申請します。自動では引き継がれません。

事務処理要領は、申請に次の書類を付けるよう求めています。

前の学校でもらうもの
  • 受給資格消滅通知書(または支給実績証明書)
  • 履修した単位数が分かる証明(通知書に書いてもらう形でも可)

書類がそろわないと、残りの計算ができません。転学の手続きと一緒に、前の学校の事務室で頼んでください。

授業料のほかに、かかるもの

就学支援金は授業料だけの支援です。次の費用は対象になりません。

  • 入学金(転入でもかかる学校がある)
  • 施設設備費・教材費
  • スクーリングの交通費・宿泊費
  • サポート校を使う場合の費用

移る先を比べるときは、「転入した年度の総額」を聞いてください。

資料を取り寄せると、転入の時期と費用の目安が分かります。

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移る前に、学校に聞く4つ

通信制高校に転入する前に費用で聞く4つ。前の学校に在学した月数と履修した単位数、受給資格消滅通知書をもらえるか、支援金の残りで卒業まで足りるか(高3の10月に移ると残り8か月)、支援の外になる単位の授業料(落とした単位も上限から引かれる)
転入の前に、費用で聞く4つ。前の学校に聞くことと、移る先に聞くこと。
  1. 前の学校で履修した単位数と、在学した月数(前の学校に聞く)
  2. 支援金の残りで、卒業まで足りるか(移る先に聞く)
  3. 支援の対象外になる単位の、授業料はいくらか
  4. 転入した年度の、入学金・施設費を含めた総額

後悔しない移り方は通信制高校への転入は後悔する?にまとめました。

まとめ

  • 転入しても就学支援金は続く。全日制から通信制に移ると、残りは「48か月−在学月数×4/3」
  • 単位で払う学校では、「74単位−前の学校で履修した単位」も上限になる
  • 高3の4月なら残り16か月、高3の10月なら残り8か月。3月に卒業できれば足りる
  • 落とした単位も74単位から引かれる。取り直しの授業料が支援の外に出やすい
  • 前の学校で、受給資格消滅通知書と履修単位数の証明をもらう

出典

  • 文部科学省「高等学校等就学支援金・新制度 事務処理要領(第1版)」(令和8年4月)。転学に伴う就学支援金の取扱い(受給資格消滅通知書・支給実績証明書の添付、履修単位数の記入)、全日制から定時制課程等への転学時の支給期間(48月−在学月数×4/3)、学年制から単位制への転学時の単位数の上限(74単位−履修期間を満了した科目の単位数、修得を問わない)、単位制の支給上限(74単位・年30単位)、Q13-1の計算例、Q13-2の年度途中の転出の扱い。学年・時期別の残りの月数と単位数は、1年30単位の履修を前提に当サイトで計算
  • 文部科学省「高等学校等就学支援金制度に関するQ&A」。全日制から通信制に移った場合の支給期間の計算例、学び直しの支援
  • 文部科学省「高校等で学び直す者に対する修学支援」(令和8年度~)。支給期間後も卒業まで最長24月(定時制・通信制)、年33万7,200円を上限、実施主体は都道府県
  • 文部科学省「高等学校等就学支援金・新制度の概要」(2026年6月16日)。私立通信制の上限33万7,200円、公立通信制1単位336円
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杉野 一樹(ペンネーム)
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不登校・進路情報編集者
「みちほどき」運営者。 不登校や学校に行きづらくなった子どもと保護者に向けて、出席扱い、学習支援、フリースクール、通信制高校、高卒認定、進学・就職などの情報を発信しています。 専門家や当事者としてではなく、文部科学省や自治体、学校などが公開する情報を確認し、制度や選択肢をわかりやすく整理することを大切にしています。 「学校に戻る」だけではない、その子に合った次の道を考えるための情報サイトを目指しています。
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