通信制高校

高卒認定は意味ない? 採用で「高卒と認めない」企業は0.5%。ただし6割近くは「受けに来たことがなく決めていない」

高卒認定は意味ない? 企業の扱いを国の調査で確かめた
杉野 一樹

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高卒認定を受けようか迷っている。「取っても意味ない」と聞いて、手が止まった。

そういう人に向けて、国の調査でわかることを並べます。

先に答えです。高卒認定に合格しても、最終学歴は高卒になりません。ここは、文部科学省がはっきり書いています。

ただし、使える場面は決まっています。大学などの受験と、採用試験や国家資格です。

この記事で分かること
  • 合格しても、最終学歴は高卒にならない
  • 採用で「高卒として認めていない」企業は0.5%
  • 企業の6割近くは、扱いを決めていない
  • 高卒と同等にみなす採用試験・国家資格は、国の一覧で55ある
  • 合格者の45%が、大学や専門学校などに入学している
学校に行かなくなったあとの4つの段階。いま、学び直し、進路、その先。この記事は進路の段階
学校に行かなくなったあとの4つの段階。この記事は「進路」の話です。

「意味ない」と言われる理由

理由は、大きく2つあります。

1つ目は、学歴です。文部科学省のQ&Aは、合格しても最終学歴は高等学校卒業にならない、と答えています。

合格で認められるのは、高校を卒業した人と同等以上の学力があることです。

2つ目は、働く場面での扱いです。会社によって、扱いが違います。次の節で、国の調査の数字を見ます。

企業は、合格者をどう扱っているか

文部科学省は、企業と自治体に、高卒認定の合格者の扱いを聞いています。平成28年度の調査です。確かめた範囲で、公表されている中でいちばん新しいものでした。

採用試験での扱いは、次のとおりです。

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扱い 企業 自治体
高卒と同等である21.0%36.5%
学歴で差はつけていない15.0%27.8%
高卒として認めていない0.5%1.8%
合格者が受けに来たことがなく、決めていない57.7%29.2%

「高卒として認めていない」と答えた企業は、0.5%でした。

いちばん多い答えは「受けに来たことがなく、決めていない」です。企業の6割近くが、こう答えています。

断られるというより、扱いが決まっていない会社が多い、ということです(当サイトの読み)。

募集要項に書いている企業は少ない

「高卒と同等」と答えた企業に、募集要項への記載を聞いた結果もあります。

合格者を含むとわかるように書いている企業は、4.3%でした。自治体は27.9%です。

募集要項に「高卒以上」としか書かれていない会社が、ほとんどです。応募できるかどうかは、会社に聞いて確かめることになります。

高卒認定を知っている企業は66%

同じ調査で、高卒認定を「知っている」と答えた企業は66.3%でした。

「名前は知っているが内容は知らない」が25.3%です。面接で、制度の説明を求められることがあります(当サイトの読み)。

履歴書の書き方は高校中退後の履歴書と就職にまとめました。

採用する側から見ると

運営者は、採用の仕事に20年以上関わってきました。その立場から書きます。

最初に履歴書を見るとき、高卒認定かどうかを細かく見ることは、あまりありません。

面接で見ているのは、その場での受け答えと所作です。学歴の欄よりも、そちらが結果に響きます。

面接で出身地や家族のことを聞く会社も、減っています。厚生労働省が、本籍・出生地や家族に関することを聞かないよう求めているためです。

ただし、本人の学歴は、この「聞かないよう求める事項」に入っていません。学校のことを聞かれる可能性はあります。聞かれたら、事実をそのまま答えれば足ります。

必要以上に気にしなくてよい、というのが運営者の見方です。会社によって違うので、1つの目安として読んでください。

高卒と同等にみなす採用試験・国家資格は55

文部科学省は、高卒認定の合格を高校卒業と同等にみなす試験と資格の一覧を出しています。当サイトで数えました。

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区分 数 例
採用試験15国家公務員一般職(高卒者試験)、税務職員、裁判所職員
国家資格(試験あり)28保育士、衛生管理者、施工管理技術検定
国家資格(試験なし)12司書補、安全管理者、食品衛生管理者

合わせて55です。公務員の採用試験も入っています。

一覧は、すべての試験や資格を集めたものではありません。合格のほかに、実務経験が要る資格もあります。受けたい試験が決まっていたら、担当の省庁か試験の実施先に確かめてください。

大学受験では、合格がそのまま使える

高卒認定のもとの役割は、大学などの入学資格です。ここは、合格がそのまま使えます。

文部科学省のQ&Aから、押さえておきたい点を3つ挙げます。

  • 18歳になる年度なら、合格の年に大学を受験できる。18歳の誕生日の前でも構いません
  • 11月の試験を受ける人も、その年度の大学入学共通テストに出願できる
  • 残りの科目を高校で修得する見込みなら、「合格見込成績証明書」で受験できる

3つ目は、高校に在籍しながら受ける人のための仕組みです。高校で単位を取ったあと、合格の申請をしないと合格になりません。

試験の日程と科目は、高卒認定試験の記事に書きました。

合格した人は、そのあとどうしているか

文部科学省は、合格者の進路も調べています。平成23年度の合格者への調査です。回答したのは2,493人でした。

進路 割合
大学・短大・専門学校などに入学45.0%
来年の受験の準備23.4%
就職8.9%

合格者の45%が、大学や専門学校などに入学しています。

大学を目指して受けた人のうち、希望どおり大学に入った人は42.8%でした。

数字は10年以上前のものです。いまの割合とは違う可能性があります。

いまの受験者と合格者の数は、高卒認定試験の記事に載せています。

高卒の学歴がほしい場合

進学ではなく、「高卒」の学歴そのものがほしい人もいます。その場合は、高校を卒業する必要があります。

高卒認定で合格した科目は、高校の単位として認められることがあります。決めるのは校長です。

通信制高校に入り、合格した科目を単位に使う道もあります。仕組みは通信制高校と高卒認定に書きました。

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受ける前に確かめる4つ

高卒認定を受ける前に確かめる4つ。使い道は進学か就職か(進学なら合格がそのまま使える)、受けたい試験や資格(国の一覧に55ある)、応募先の募集要項(書いていない会社が多い)、高卒の学歴が要るか(要るなら高校の卒業)
受ける前に確かめる4つ。使い道を先に決めます。
  1. 使い道は進学か、就職か(進学なら合格がそのまま使える)
  2. 受けたい試験や資格(国の一覧に55ある)
  3. 応募先の募集要項(書いていない会社が多い)
  4. 高卒の学歴が要るか(要るなら高校の卒業)

よくある質問

Q. 高卒認定に合格したら、最終学歴は高卒ですか。

A. なりません。高校を卒業した人と同等以上の学力がある、と認められる試験です。

Q. 就職で使えますか。

A. 会社によります。扱いを決めていない会社が多いので、応募先に確かめます。

Q. 公務員試験は受けられますか。

A. 国の一覧に、国家公務員一般職(高卒者試験)などが載っています。

Q. 履歴書にはどう書きますか。

A. 高校中退後の履歴書と就職に書きました。

まとめ

  • 高卒認定に合格しても、最終学歴は高卒にならない
  • 採用で「高卒として認めていない」企業は0.5%。6割近くは扱いを決めていない
  • 募集要項に明記している企業は少ない。応募先に確かめる
  • 高卒と同等にみなす採用試験・国家資格は、国の一覧で55
  • 合格者の45%が進学している。高卒の学歴が要るなら、高校の卒業が必要

出典

  • 文部科学省「高等学校卒業程度認定試験合格者の企業等における扱いに関する調査 平成28年度調査結果」。認知度、採用試験における合格者の扱い、募集要項への記載、人事考課における扱い(企業・自治体)
  • 文部科学省「高等学校卒業程度認定試験の合格を高等学校卒業と同等とみなしている採用試験、国家資格一覧」(2024年2月)。採用試験、国家資格(試験があるもの・ないもの)。区分ごとの数は当サイトで数えた
  • 文部科学省「高等学校卒業程度認定試験合格者の進路状況に関する調査の結果について」(平成25年1月16日)。平成23年度合格者の進路、有効回収数2,493人
  • 厚生労働省「公正な採用選考の基本」。採用選考時に配慮すべき事項(本籍・出生地、家族に関することなど)
  • 「採用する側から見ると」の節は、運営者の経験にもとづく見方です
  • 文部科学省「高等学校卒業程度認定試験Q&A」。最終学歴、高校の単位としての認定、大学受験等について
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杉野 一樹(ペンネーム)
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不登校・進路情報編集者
「みちほどき」運営者。 不登校や学校に行きづらくなった子どもと保護者に向けて、出席扱い、学習支援、フリースクール、通信制高校、高卒認定、進学・就職などの情報を発信しています。 専門家や当事者としてではなく、文部科学省や自治体、学校などが公開する情報を確認し、制度や選択肢をわかりやすく整理することを大切にしています。 「学校に戻る」だけではない、その子に合った次の道を考えるための情報サイトを目指しています。
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