通信制高校

通信制高校と全日制高校の違い|国の決まりで比べると、卒業に必要な単位は同じ。違うのは授業の形と先生の数の基準

杉野 一樹

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「全日制と通信制は、何が違うのですか」。高校を選ぶときも、転校を考えるときも、最初に出てくる質問です。

先に答えです。卒業に必要な単位は、どちらも74単位以上で同じです。卒業すれば、どちらも学歴は「高等学校卒業」です。

違うのは、授業の形と、卒業までの年数の決まりと、先生の数の基準です。国の法令と統計で並べます。

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この記事で分かること
  • 卒業に必要な単位と学歴は、全日制も通信制も同じ
  • 通信制には、全日制のような毎日の授業がない。レポートとスクーリングで学ぶ
  • 先生の数の国の基準は、全日制が40人に1人、通信制が80人に1人
  • 卒業後に大学などへ進む人は、全日制・定時制が62.6%、通信制が28.6%
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学校に行かなくなったあとの4つの段階。この記事は「進路」の、学校の選び方の話です。

先に答え:同じところと、違うところ

国の法令で決まっていることを、表にまとめました。

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項目 全日制 通信制
卒業に必要な単位74単位以上74単位以上
卒業したときの学歴高等学校卒業高等学校卒業
修業年限3年3年以上
学び方毎日の授業レポート、スクーリング、試験
一緒に学ぶ人数の上限1学級40人同時に面接指導を受けるのは40人
先生の数の基準収容定員40人に1人以上在籍80人に1人以上(最低5人)

「高校を卒業した」という中身は同じです。違いは、そこまでの学び方と、学校の作り方にあります。

授業の形:通信制は、毎日の授業の代わりにレポートとスクーリング

全日制の授業には、国の標準があります。

学習指導要領では、授業は年に35週、週に30単位時間が標準です。

授業の1単位時間は50分です。

全日制では、35単位時間の授業で1単位になります。

通信制は、この授業時数の決まりが当てはまりません。学習指導要領の解説には、全日制のような授業は「原則として行われない」と書かれています。

1単位のために、何をするか

代わりに決まっているのが、レポート(添削指導)とスクーリング(面接指導)の回数です。1単位あたりの標準を、全日制と並べます。

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教科 全日制の授業 通信制のレポート 通信制のスクーリング
国語・数学など35単位時間3回1単位時間
理科・外国語など35単位時間3回4単位時間
体育35単位時間1回5単位時間

先生から直接習う時間は、通信制のほうがずっと短くなります。そのぶん、レポートを自分で進める時間が学習の中心です。

解説には、通信制の学習の量と質は、全日制と「同等」とも書かれています。学ぶ量が少ないのではなく、学び方が違うということです。

レポートとスクーリングの仕組みは、通信制高校とはで詳しく書きました。

先生の数:国の基準は、通信制が全日制の半分

学校に置く先生の数にも、国の基準があります。

全日制・定時制は、高等学校設置基準の第8条です。先生(教諭など)の数は、収容定員を40で割った数以上と決まっています。

通信制は、高等学校通信教育規程の第5条です。在籍する生徒の数を80で割った数以上です。

生徒が少ない学校でも、最低5人は置きます。

実際の数でも、1人あたりの生徒は約3倍

文部科学省の学校基本調査(2026年度の速報)から、生徒と先生の数を並べました。

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課程 生徒 本務の先生 先生1人あたり
全日制・定時制284万5,117人22万818人約13人
通信制31万1,792人7,773人約40人

先生1人あたりの数は、当サイトで計算しました。ほかの学校と兼ねる先生は、この数に入っていません。

通信制は毎日の授業がない形なので、単純には比べられません。ただ、相談できる人の数は、学校によって大きく違います。

入る前に、担任1人が受け持つ生徒の数を聞いてください。聞き方は通信制高校はやめとけ?の「やめたほうがいい学校の、3つの印」に書きました。

年数と入り方:通信制は「3年以上」

卒業までの年数は、学校教育法の第56条で決まっています。

全日制は3年です。定時制と通信制は「3年以上」です。

通信制でも、3年で卒業する人は多くいます。年数が延びる仕組みは、通信制高校に留年はある?にまとめました。

入試も違います。全日制は学力検査が中心です。

公立の通信制11校を調べると、新入学で学力検査をする学校はありませんでした。詳しくは通信制高校の入試に書いています。

全日制から通信制へ、途中で移れる

学校教育法施行規則の第92条には、全日制・定時制・通信制の間の転学の決まりがあります。取った単位に応じて、相当する学年に転入できます。

全日制で取った単位は、通信制でも数えられます。手続きと締切は、通信制高校の転入・編入はいつまで?で確かめてください。

学費:国の支援金の上限が違う

授業料を支援する国の就学支援金は、課程によって上限が違います。2026年度の上限です。

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区分 全日制 通信制
私立年45万7,200円年33万7,200円
公立年11万8,800円1単位336円(授業料と同額)

私立の通信制は、全日制より上限が低くなっています。

どちらも、支援されるのは授業料だけです。通信制では、施設費やサポート校の費用が別にかかることがあります。

学校ごとの金額は、通信制高校の学費で並べました。

卒業したあと:進路の割合

学校基本調査で、卒業した人の進路を並べます。国の統計は、全日制と定時制をまとめて数えています。

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進路 全日制・定時制 通信制
大学・短大など62.6%28.6%
専門学校14.8%22.9%
就職14.0%19.5%
進学も就職もしていない4.7%26.1%

全日制・定時制は、2025年3月に卒業した人です。

通信制は、2024年度中に卒業した人です。通信制の「大学・短大など」には、大学の通信教育部に進んだ人も入っています。

通信制の生徒は、年齢も事情もさまざまです。数字の差は、課程の良し悪しだけを表すものではありません。

通信制から大学に進む方法は、通信制高校から大学へにまとめています。

どちらが合うか、考える3つ

全日制か通信制かを考える3つ。毎朝通うことが続けられるか、先生から直接習う時間がどれくらい要るか、相談できる人が学校に何人いるか
全日制か通信制か、考える3つ。卒業の条件は同じで、違うのは学び方です。
  1. 毎朝、決まった時間に通うことが続けられるか
  2. 先生から直接習う時間が、どれくらい必要か
  3. 困ったときに相談できる人が、学校に何人いるか

よくある質問

Q. 通信制を卒業すると、履歴書に何と書きますか。

A. 「高等学校卒業」です。全日制と同じ学歴で、通信制と書く決まりはありません。

Q. 通信制から全日制に戻れますか。

A. 決まりの上では、課程の間の転学はできます。ただし全日制には定員や試験があるので、移りたい学校に聞いてください。

Q. 通信制のほうが簡単ですか。

A. 卒業に必要な単位は同じです。自分でレポートを進める力が必要なので、簡単とは言えません。

Q. 大学受験で不利になりますか。

A. 受験の資格は、全日制と同じ「高等学校卒業」です。受験の準備を学校がどう支えるかは、学校ごとに違います。

まとめ

  • 卒業に必要な単位は、全日制も通信制も74単位以上。学歴も同じ「高等学校卒業」
  • 通信制には毎日の授業がない。レポートとスクーリングで、全日制と同等の学習をする形
  • 先生の数の国の基準は、全日制が40人に1人、通信制が80人に1人
  • 修業年限は、全日制が3年、通信制は3年以上。途中で課程を移ることもできる
  • 大学などへ進む人は、全日制・定時制が62.6%、通信制が28.6%
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出典

  • 学校教育法 第56条(修業年限)(e-Gov法令検索)
  • 学校教育法施行規則 第92条第2項(課程相互の転学)、第96条(74単位以上)
  • 高等学校設置基準 第7条(1学級40人以下)、第8条(教諭等は収容定員を40で除して得た数以上)
  • 高等学校通信教育規程 第4条の2(同時に面接指導を受ける生徒数は40人以下)、第5条(教諭等は5または在籍生徒数を80で除して得た数のいずれか大きい方以上)
  • 高等学校学習指導要領 第1章総則(1単位時間50分、35単位時間で1単位、全日制は年35週・週30単位時間が標準)、高等学校学習指導要領解説 総則編(通信制の課程における教育課程の特例、添削指導の回数と面接指導の単位時間数の標準)
  • 文部科学省「学校基本調査」令和8年度速報(2026年8月)。高等学校(全日制・定時制)の在学者2,845,117人・本務教員220,818人、高等学校(通信制)の在学者311,792人・本務教員7,773人。1人あたりの数は当サイトで計算
  • 文部科学省「学校基本調査」令和7年度 高等学校(全日制・定時制)卒業後の状況調査 表283(2025年3月卒業者929,157人)、高等学校(通信制)卒業後の状況調査 表297(2024年度間卒業者91,809人)。割合は当サイトで計算
  • 文部科学省「高等学校等就学支援金・新制度の概要」(2026年度の支給上限)
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杉野 一樹(ペンネーム)
杉野 一樹(ペンネーム)
不登校・進路情報編集者
「みちほどき」運営者。 不登校や学校に行きづらくなった子どもと保護者に向けて、出席扱い、学習支援、フリースクール、通信制高校、高卒認定、進学・就職などの情報を発信しています。 専門家や当事者としてではなく、文部科学省や自治体、学校などが公開する情報を確認し、制度や選択肢をわかりやすく整理することを大切にしています。 「学校に戻る」だけではない、その子に合った次の道を考えるための情報サイトを目指しています。
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