都道府県別

岩手の通信制高校は、県内6校すべてが「地元の人向け」。キャンパスの7割はスクーリングができません

杉野 一樹

この記事には広告(PR)が含まれます。

岩手は面積が広い県です。盛岡から沿岸まで車で2時間以上かかります。

先に答えです。岩手に本校がある通信制6校は、すべて「地元の人向け」の学校です。全国から入れる私立の本校がありません。

そして県内のキャンパス49か所のうち、スクーリングができるのは15か所だけです。通う場所が選択肢を決めます。

この記事で分かること
  • 県内に本校がある6校は全部が狭域。盛岡中央は岩手と秋田、一関学院と専修大北上は岩手と宮城の人だけ
  • 県内49か所のうち34か所はスクーリングができない施設。面接指導ができる15か所も、生徒がいるのは6か所
  • 盛岡市に21か所336人が集中。沿岸は大船渡100人、宮古19人、釜石17人と小さい
  • 岩手は通信制の教科書と学習書が全額給付される。他県にはあまりない制度
学校に行かなくなったあとの4つの段階。いま、学び直し、進路、その先。この記事は進路の段階
学校に行かなくなったあとの4つの段階。この記事は「進路」の、岩手の話です。

先に答え:県内6校は全部が狭域

通信制には「広域」と「狭域」があります。広域は全国から入れる学校で、狭域は決まった都道府県の人しか入れません。

岩手に本校がある6校は、全部が狭域です。他県にはたいてい1つはある「全国から入れる私立の本校」が、岩手にはありません。

ただし県内のキャンパスで学ぶことはできます。そこに通っている生徒の大半は、本校が県外の学校に在籍しています。

6校の中身

文科省のデータ(2025年5月時点)で数えました。

← 横にスクロールできます →

学校 入れる地域 定員 在籍
県立杜陵(盛岡市・公立)岩手県880人322人
県立杜陵 奥州校(奥州市・公立)岩手県—175人
県立宮古(宮古市・公立)岩手県320人114人
盛岡中央 単位制(盛岡市・私立)岩手県・秋田県500人492人
一関学院(一関市・私立)岩手県・宮城県300人166人
専修大学北上(北上市・私立)岩手県・宮城県25人10人

盛岡中央の単位制は、定員500人に492人です。

98.4%でほぼ満員です。

専修大学北上は定員25人と極端に小さい枠です。募集の状況は学校に直接確かめてください。

県立杜陵の奥州校は、通信制の窓口が県立水沢商業高校の中にあります。平成21年に開校した、岩手で最も新しい単位制の学校です。

県内49か所のうち、スクーリングができるのは15か所

県内には通信教育連携協力施設が49か所あります。在籍は716人です。

内訳を見ると、面接指導等実施施設が15か所、学習等支援施設が34か所でした。

割合にすると69.4%が学習等支援施設です。

学習等支援施設では、スクーリングと試験ができません。相談や事務の支援をする場所です。

種類の見分け方は近くの通信制高校はどう探す?に書きました。

そのうち生徒がいるのは6か所

さらに数えると、もっと絞られます。面接指導ができる15か所のうち、在籍がいるのは6か所だけでした。

← 横にスクロールできます →

施設 学校 在籍
大船渡面接指導施設松本国際96人
星北高等学園(矢巾町)星槎国際81人
杜陵高等学校(盛岡市)NHK学園59人
岩手県盛岡学習センター松陰28人
DSC北上キャンパス鹿島学園15人
DSC大船渡キャンパス鹿島学園4人

残る9か所は在籍が0人でした。これから受け入れる枠の可能性もありますが、実績はまだありません。

表の3行目に注目してください。県立杜陵高校が、NHK学園の面接指導会場になっています。公立の通信制が、別の通信制のスクーリング会場を兼ねている珍しい形です。

盛岡に21か所、336人が集中している

場所の偏りも見ておきます。市町村別に数えました。

← 横にスクロールできます →

市 施設数 在籍
盛岡市21か所336人
北上市4か所107人
大船渡市2か所100人
一関市4か所19人
宮古市3か所19人

沿岸にも拠点はあります。ただし大船渡を除くと、在籍は20人前後です。

なお定員を超えている施設は6か所あります。

たとえば次の施設です。

  • フリースクールわらすば(星槎国際):定員30人に57人
  • 大船渡面接指導施設:定員67人に96人

岩手は教科書と学習書が全額給付される

お金の話です。ここに岩手の特徴があります。

岩手県教育委員会に「通信制課程教科書学習書給与制度」があります。通信制課程等に在学する生徒の教科書と学習書を、給与または購入代金を全額給付する制度です。

他県では教科書代が年1万円から2万円の自己負担になります。岩手はそこが消えることになります。

手続きは4月の入学時です。

担当は県教育委員会事務局の教育企画室です。

  • 電話:019-629-6111

もうひとつ「定時制、通信制修学資金貸付金」があります。経済的理由で修学が困難な勤労生徒に、月額1万4,000円を貸し付ける制度です。

私立に通う場合は「私立高等学校生徒等奨学給付金」があります。窓口はふるさと振興部の学事振興課です。

  • 電話:019-629-5042

県独自の授業料上乗せは、県のページに見当たりません。授業料は国の就学支援金で計算してください。

県ごとの補助の違いは通信制高校の学費が安いのはどこ?にまとめました。

杜陵 奥州校は水曜を足すと3年で卒業できる

公立の通い方を見ます。杜陵高校奥州校の通信制課程の説明が具体的です。

前後期の2期制で、各期ごとに単位を認定します。学年制ではなく単位制です。

スクーリングは日曜が年間28日です。これが4年で卒業する場合の基本になります。

水曜のスクーリングを加えると、3年で卒業できるカリキュラムが組まれています。前籍校の在籍年数や単位の状況で期間は変わります。

レポートは教科ごとに年間2枚から12枚です。

登校日数は半期10日以上という規程があります。

転入生と編入生を対象にした後期入学(10月)もあります。締切の考え方は通信制高校の転入・編入はいつまで?に書きました。

ボランティア活動やインターンシップ、資格取得も単位として認定されます。内容や種類によっては認定されないものもあります。

公立の中身は公立の通信制高校はどんなところ?にまとめました。

岩手で確かめる3つ

やることは3つです。

  1. 近くの拠点が、スクーリングができる施設かを聞く。県内49か所のうち34か所はできません
  2. スクーリングをどこで受けるのかを聞く。近所の拠点と別の場所になることがあります
  3. 教科書と学習書の給付を学校に確かめる。手続きは4月の入学時です

入試で何をするかは通信制高校の入試に書きました。

宮城の学校も選択肢に入るなら、仙台・宮城の通信制高校も読んでください。一関学院と専修大学北上は宮城の人も入れます。

岩手で通信制を選ぶ前に確かめる5つ。近くの拠点はスクーリングができる施設か、スクーリングをどこで受けるのか聞いたか、教科書と学習書が全額給付されることを知っているか、県立なら修学資金の貸付も聞いたか、全国から入れる私立が県内にあると思うのは注意
近くの拠点でスクーリングができるかを、先に聞いてください。

相談先

学校を決める前に相談したいときの窓口です。

教科書の給付や修学資金については、県教育委員会事務局の教育企画室が窓口です。

  • 電話:019-629-6111

私立の学費については、ふるさと振興部の学事振興課が窓口です。

  • 電話:019-629-5042

24時間つながる電話は「24時間子供SOSダイヤル」です。全国共通で、夜間も休日も使えます。

  • 電話:0120-0-78310

よくある質問

Q. 秋田や宮城から岩手の学校に入れますか。

A. 盛岡中央は秋田県、一関学院と専修大学北上は宮城県の人も入れます。県立3校は岩手県だけです。

隣県の状況は秋田の通信制高校にまとめました。

Q. 全国から入れる学校は岩手にありませんか。

A. 本校はありません。ただし県外に本校がある学校のキャンパスが県内にあります。

Q. 沿岸に住んでいますが通えますか。

A. 大船渡・宮古・釜石・久慈に拠点があります。ただし規模は小さいので、スクーリングの場所を確かめてください。

Q. 教科書代は本当にかかりませんか。

A. 県教委の制度で給与または全額給付とされています。対象の詳細は学校に確かめてください。

Q. 3年で卒業できますか。

A. 杜陵奥州校は水曜スクーリングを加えると3年で卒業できるカリキュラムがあります。

注意

注意:近くにキャンパスが見つかっても、そこでスクーリングができるとは限りません。岩手県内49か所のうち34か所は学習等支援施設で、面接指導と試験ができません。見学の前に、種類とスクーリングの場所を聞いてください。

まとめ

  • 岩手に本校がある6校は全部が狭域。全国から入れる私立の本校はない。盛岡中央は定員500人に492人でほぼ満員
  • 県内49か所のうち34か所はスクーリングができない施設。面接指導ができる15か所も、生徒がいるのは6か所だけ
  • 県教委の制度で通信制の教科書と学習書は全額給付。修学資金の貸付は月額1万4,000円
ネット×リアルで高卒資格+進路実現!KADOKAWA・ドワンゴが贈る通信制高校【N高等学校】

KADOKAWAとドワンゴが運営する広域通信制です。対象は中学3年生から高校生・高校中退の人。資料を請求しても入学の義務はありません。PR

出典

  • 文部科学省「分かる・見つかる通信制高等学校」詳細検索用エクセル(令和7年5月1日時点)。岩手県に本校を置く6校の通信教育を行う区域・定員・在籍、県内の通信教育連携協力施設49か所(面接指導等実施施設15・学習等支援施設34、在籍716人)、面接指導等実施施設ごとの在籍、市町村別の施設数と在籍、定員を超えている6か所。集計は当サイトで実施
  • 岩手県「教育費の負担軽減に関する事業」。通信制課程教科書学習書給与制度(通信制課程等に在学する生徒の教科書及び学習書を給与又は購入代金を全額給付、手続きは4月入学時、教育委員会事務局 教育企画室 019-629-6111)、定時制・通信制修学資金貸付金(月額1万4,000円)、私立高等学校生徒等奨学給付金(ふるさと振興部 学事振興課 019-629-5042)
  • 岩手県立杜陵高等学校 奥州校「通信制課程」。前後期2期制で各期ごとに単位認定、日曜スクーリング年間28日、水曜スクーリングを加えると3年で卒業できるカリキュラム、レポートは1教科年間2〜12枚、登校日数は半期10日以上、転入生・編入生対象の後期入学(10月)、ボランティア活動やインターンシップ・資格取得の単位認定、通信制は奥州市水沢字土器田1 水沢商業高校内
ABOUT ME
杉野 一樹(ペンネーム)
杉野 一樹(ペンネーム)
不登校・進路情報編集者
「みちほどき」運営者。 不登校や学校に行きづらくなった子どもと保護者に向けて、出席扱い、学習支援、フリースクール、通信制高校、高卒認定、進学・就職などの情報を発信しています。 専門家や当事者としてではなく、文部科学省や自治体、学校などが公開する情報を確認し、制度や選択肢をわかりやすく整理することを大切にしています。 「学校に戻る」だけではない、その子に合った次の道を考えるための情報サイトを目指しています。
記事URLをコピーしました