不登校でも高校受験はできる?「欠席日数で落ちる」は都道府県で答えが違う。2025年度入試の全国の扱いを数字で
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お子さんが学校に行かなくなって、いちばん先に頭に浮かぶのが高校受験だと思います。
内申がない。欠席日数で落とされる。この2つが不安の中身です。
先に答えです。不登校でも高校には行けます。そして「欠席日数で落ちる」の答えは、住んでいる都道府県で変わります。
最初にやることは勉強でも内申でもなく、自分の県の扱いを確かめることです。
- 2025年度の公立高校入試で、調査書に「出欠の記録」の欄がない都道府県は10。ある都道府県は37
- 欠席が多いとき、本人が自己申告書を出せる都道府県は28。欠席を選抜の資料に使わない扱いがある都道府県は11
- 中3で不登校だった生徒の高校進学率は85.1%(文部科学省の追跡調査)。問題は「入れるか」より「入ったあと続くか」

先に答え:高校には行ける。欠席の扱いは県で違う
文部科学省が、中3のときに不登校だった生徒を追った調査があります。高校への進学率は85.1%でした。
前の調査の65.3%から、大きく上がっています。
この調査は2014年の公表で、対象は2006年度に中学を卒業する学年です。古い数字ですが、これより新しい追跡調査はありません。
進学率は上がった。残っている問題は、入ったあと続くかどうかです。高校の中退率は14.0%でした。
では、欠席は入試でどう扱われるのか。ここが県で違います。
文部科学省が毎年、47都道府県の公立高校入試を調べています。2025年度入試の数字を見ます。
全国47都道府県の扱い:出欠の欄がない県が10、自己申告書を出せる県が28
| 扱い | 都道府県の数 |
|---|---|
| 調査書に「出欠の記録」の欄がある | 37 |
| 調査書に「出欠の記録」の欄がない | 10 |
| 欠席が多いとき、本人が自己申告書を出せる | 26(一部の学校で 2) |
| 中学校長が副申書など別の書類を出せる | 11(一部の学校で 4) |
| 学校以外の場(家庭・教育支援センター)の学習を調査書に書ける | 12(一部の学校で 1) |
| 出欠の記録を、選抜の資料に使わない扱いがある | 9(一部の学校で 2) |
| 調査書を使わない特別な選抜がある | 1(一部の学校で 5) |
出典は文部科学省「令和7年度 高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査」です。公立高校が対象なので、私立は学校ごとに違います。
欄がない県:東京・神奈川・大阪・京都など
10の都府県では、調査書に欠席日数を書く欄そのものがありません。東京都は「調査書の様式に出欠の欄はない」と回答しています。京都府は「不登校経験の有無に関わらず、欄を設けていない」です。
欄がなければ、欠席日数が数字として高校に渡ることはありません。ただし、面接や作文で「中学校で何をしていたか」を聞かれる学校はあります。欄の有無は、合否に影響がないという意味ではありません。
もう1つ、欄がなくても「評定(内申)」は別です。授業に出ていない教科は評定が付かないことがあります。この扱いは次の節で書きます。
欄はあるが、自己申告書を出せる県:26
37の都道府県には欄があります。ただし、その多くの県には「自己申告書」の制度があります。欠席の理由や高校で学びたいことを、本人が書いて出せる書類です。
書ける中身は県で違います。青森県は「いずれかの学年で欠席が30日以上ある人」が対象です。
福岡県は、12月末で70日以上の欠席か、教育支援センターで学んでいる場合に申請書を出せます。
自己申告書は、出したから合格するものではありません。欠席の理由を高校に伝え、学力検査や面接を重く見てもらうための書類です。中学校の先生を通して出します。
愛知県は、中3の欠席等が半分以上の人のための選抜方法を、全ての公立高校・学科で実施しています。教育支援センターに通った日も欠席等に数える点は愛知県の不登校支援に書きました。
「内申がない」の正体:評定が付かない教科と、学校以外の学習
「内申がない」には、二つの意味があります。一つは、授業に出ていない教科の評定が空欄になること。もう一つは、家や教育支援センターで勉強していたことが、調査書に載らないことです。
2つ目には、制度があります。学校以外の場での学習を調査書に反映できる都道府県が、12あります。
中学校長の判断で、家庭やフリースクール、教育支援センターでの学習を「出席扱い」にできます。その日数を調査書に書く仕組みです。
1つ目の評定については、岩手県のような県があります。評定が空欄の教科について、学習の状況が分かる書類を出せる仕組みです。宮城県は、評定の代わりに別紙で記載した場合の写しを出せます。
どちらも、中学校の先生が動かないと始まりません。「うちの県で、出席扱いと調査書の書き方はどうなっていますか」と、担任か学年主任に聞いてください。
不登校の生徒を前提にした学校や選抜
調査書を使わない、または学力検査を行わない選抜を持つ県があります。文部科学省の調査で各県が挙げた例です。
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| 都道府県 | 学校・選抜 | 特徴 |
|---|---|---|
| 東京都 | チャレンジスクール | 調査書を使わず、面接と作文で選抜 |
| 神奈川県 | クリエイティブスクール | 学力検査なし。評定を使わず、観点別の評価で選考 |
| 千葉県 | 地域連携アクティブスクール | 学び直しを前提にした県立高校 |
| 茨城県 | フレックススクール | 定時制の単位制高校5校 |
| 岡山県 | フレックス制の選抜 | 不登校生徒が対象。学力検査なし、志望理由書と面接 |
| 福岡県 | 学びの多様化学校(高校) | 不登校の生徒を対象にした県立高校1校 |
| 佐賀県 | 不登校経験者等の募集枠 | 募集枠を持つ学校を設置 |
学びの多様化学校(旧・不登校特例校)は、全国に58校あります。ほとんどが小中学校で、高校はまだ少数です。
数は、2025年4月の時点です。
この表にない県でも、定時制の単位制高校が同じ役割を持っていることが多いです。
県の教育委員会のサイトで「入学者選抜 実施要項」を開きます。「不登校」「自己申告書」で検索すると、自分の県の扱いが出てきます。
全日制以外の道:通信制・定時制・高卒認定
全日制の高校だけが道ではありません。2025年度に通信制高校に入った人は77,998人です。
そのうち、中学3年のとき不登校だった人は44,461人でした。
57%、半分より多いです。
通信制を卒業した人の約7割は、大学・専門学校・就職に進んでいます。
数字は通信制高校は人生終わり?卒業した9万人が、そのあとどうなったかに、学校の見分け方は通信制高校はやめとけ? 言われる理由5つを数字で確かめて、やめたほうがいい学校の見分け方に書きました。
定時制は、夕方や夜に通う公立高校です。学費が低く、自己申告書や面接を重く見る選抜が多いです。高卒認定は試験で「高卒と同等の学力」を認めるもので、大学は受けられますが、学歴は高卒になりません。
練馬区の調査では、不登校を経験した区立中学校の卒業生の進学先は、次のとおりでした。
- 定時制:38.8%
- 通信制:35.6%
- 全日制:16.0%
詳しくは練馬区の不登校支援に書きました。
学年別に、いま確かめること
中1・中2の親
急いで決めることはありません。確かめるのは1つだけです。
自分の県の調査書に出欠の欄があるか、自己申告書の制度があるか。県の教育委員会のサイトで分かります。
家や教育支援センターで勉強しているなら、「出席扱い」にできるかを中学校に聞いてください。中1からの積み重ねが、調査書の書き方に関わります。
中3の親
中学3年の秋から冬が、動く時期です。
- 9〜10月:県の実施要項を読む。自己申告書の有無、特別な選抜の有無を確かめる
- 10〜11月:担任と面談。副申書や総合所見に何を書けるかを聞く。特別な選抜を使うなら、この時期に決める
- 12月〜1月:自己申告書を本人と書く。欠席の理由と、高校で学びたいこと。中学校を通して提出
- 並行して:通信制・定時制の説明会にも1つ行く。全日制に落ちたときの道を、先に見ておく
受験のための塾は、県の扱いを確かめてから考えます。昼間の塾の選び方は不登校の子の塾に書きました。

中学校に頼むこと
高校入試の書類は、すべて中学校が作ります。親と本人が直接高校に出せるのは、自己申告書だけです。だから、中学校に頼むことを3つに絞ります。
- 出席扱いにできる学習があれば、調査書に書いてもらう。家庭でのオンライン学習、教育支援センター、フリースクール
- 副申書か総合所見に、欠席の理由と本人の様子を書いてもらう。書ける県は11
- 自己申告書の様式を、早めにもらう。書くのは本人と親。提出は中学校経由
注意:「不登校だから公立は無理」と最初に言われても、その場で決めないでください。県の実施要項に書いてある扱いを、親が読んでから面談に行くと、話が変わります。要項は県の教育委員会のサイトにあります。
まとめ
- 不登校でも高校には行ける。中3不登校の進学率は85.1%(2014年公表の追跡調査)
- 欠席の扱いは県で違う。出欠の欄がない県が10、自己申告書を出せる県が28
- 最初にやることは、県の実施要項を読むこと。書類は中学校が作るので、頼むことを3つに絞る
出典
- 文部科学省「令和7年度 高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)」(2025年12月、2026年2月17日更新)。調査書の記入事項(出欠の記録 37都道府県)、不登校経験のある生徒に対する配慮(調査書等の提出、選抜における取扱い、特別な選抜の例)
- 文部科学省「不登校に関する実態調査 平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書」(2014年7月)。高校進学率85.1%(前回65.3%)、高校中退率14.0%(前回37.9%)
- 文部科学省「学びの多様化学校について」(2025年4月時点 58校)
- 文部科学省「令和7年度通信制高等学校実態調査に関する調査結果について」(2026年4月21日公表)。入学者77,998人のうち中3で不登校44,461人(57%)
- 文部科学省「高等学校卒業程度認定試験」。合格者の扱い

