不登校

不登校の小学生の気持ち|経験した大人1万8,000人に「当時」を聞いた国の調査。ほしかったのは、気持ちを言葉にする手助け

杉野 一樹

この記事には広告(PR)が含まれます。

「どうして行きたくないの」と聞いても、子どもは答えない。黙るか、「わからない」と言う。

小学生の親から、よく聞く話です。

子どもの気持ちは、その場ではなかなか言葉になりません。そこで、不登校を経験した大人に、当時の気持ちを聞いた国の調査を読みました。

文部科学省が2025年に公表した調査です。先に答えを書きます。

当時ほしかった手助けの1位は、「自分の気持ちをはっきり表現する方法」でした。理由を聞かれることより、言葉にする手助けです。

この記事で分かること
  • 不登校を経験した大人の半分は、小学校で休みはじめていた
  • 小学校で休みはじめた人は、先生との関係がきっかけに多い。中学はいじめや心の不調が多い
  • ゲームがきっかけと答えた人は3.2%。小5では多めに出る
  • 当時ほしかった手助けの1位は「気持ちを表現する方法」。半分は相談先を使っていなかった
学校に行かなくなったあとの4つの段階。いま、学び直し、進路、その先。この記事は「いま」の段階
学校に行かなくなったあとの4つの段階。この記事は「いま」の、子どもの気持ちの話です。

先に答え:理由は1つとは限らず、言葉にもなりにくい

使うのは、文部科学省の「不登校経験者等を対象とする調査」です。2025年11月に公表されました。

対象は、小学校か中学校で不登校を経験した、18歳から59歳の人です。

インターネットで答えた人は、1万8,207人です。

大人になってから、当時を思い出して答えた調査です。今の小学生とは時代が違う点に、気をつけて読んでください。

それでも、本人の側から見た数字は多くありません。この記事では、次の順で見ていきます。

  1. いつ休みはじめたか
  2. きっかけは何だったか
  3. なぜ続いたか
  4. 当時、どんな手助けがほしかったか
  5. 大人になって、どう振り返っているか

小学生の不登校の数や、学校が把握している理由は、小学生の不登校は10年で5.3倍に書きました。

小学校で休みはじめた人は、半分を超える

休みはじめた学年を聞いています。インターネット調査の答えです。

休みはじめた学年 割合
小学1年生6.4%
小学2年生4.2%
小学3年生8.6%
小学4年生10.7%
小学5年生14.0%
小学6年生9.2%
中学1年生16.5%
中学2年生19.7%
中学3年生10.8%

小学校で休みはじめた人を足すと、53.0%です。当サイトで人数から計算しました。

小学校の中では、5年生がいちばん多くなっています。

時期は、夏休み明けの秋から冬(8月〜12月)が最も多い答えでした。

きっかけ:小学校で休みはじめた人は、先生との関係が多い

休みはじめたきっかけを、あてはまるものすべて選んでもらっています。全体の上位はこうです。

きっかけ(複数回答) 割合
友人との関係(いやがらせやいじめ)47.5%
心の不調(漠然とした不安や落ち込み)25.0%
学校生活にやる気が出なかった24.5%
先生と合わなかった20.4%
友人との関係(いじめ以外)20.0%
体の不調(行こうとするとお腹や頭が痛い)16.4%

選ぶ数に決まりはありません。当時の理由は、1つとは限らないということです。

学年で分けると、小学校と中学校で違いが出る

報告書は、きっかけと休みはじめた学年の組み合わせも分析しています。統計的に「多めに出た」組み合わせを並べました。

休みはじめた学年 多めに出たきっかけ
小学1年生先生が怒る・注意がうるさい、体の不調、障害による困難、家庭環境
小学2〜6年生先生との関係(どの学年にも出る)
小学4〜5年生上に加えて、勉強が分からない、家族の生活環境の変化
中学1〜2年生いじめ、心の不調

報告書のまとめには、こう書かれています。「小学生時に休みはじめた人のきっかけは、先生との関係が概ね期待値より有意に高く」。

先生との関係は、家からは見えにくいきっかけです。子どもが話さないときは、担任以外の先生にも様子を聞いてみてください。スクールカウンセラーも窓口です。

ゲームがきっかけ、は少ない

「ゲームばかりしているから行かないのでは」と心配する親は多いです。

同じ調査で、ネットやゲームの影響をきっかけに選んだ人は、全体の3.2%でした。最もあてはまるものとして選んだ人は、0.8%です。

学年で分けると、小学5年生だけ、ゲームなどのきっかけが多めに出ました。ただし、全体で見れば少ない答えです。

休んでいる間のゲームは、きっかけではなく過ごし方の話として考えるほうが近そうです。終える時刻の決め方は、不登校の小学生、家での過ごし方に書きました。

なぜ続いたか:迎えや催促で行っても、続かなかった人がいる

不登校が続いた理由も聞いています。あてはまるものすべてです。

続いた理由(複数回答) 割合
友人との関係(いやがらせやいじめ)44.4%
心の不調26.6%
学校生活にやる気が出なかった24.1%
先生と合わなかった21.8%
体の不調16.2%
行かないことをあまり悪く思わなかった10.6%
なぜ行かなくてはならないのか分からなかった9.0%
迎えや催促で行くが、長続きしなかった5.1%

続いた理由の上位は、きっかけの上位とほぼ同じです。きっかけが解決しないまま、続いていたと読めます。

「迎えや強い催促があると行くが、続かなかった」という答えもありました。連れて行けた日があっても、それで終わりとは限りません。

当時ほしかった手助け:1位は「気持ちを表現する方法」

不登校だった当時、どんな相談や手助けがほしかったかを聞いています。

ほしかった手助け(複数回答) 割合
自分の気持ちをはっきり表現したり、人とうまくつきあったりする方法33.3%
とくにない31.3%
心や体の不調についての相談31.0%
学校の勉強についての相談22.3%
友人と知り合える居場所の情報20.8%

1位は、気持ちを言葉にすることや、人とのつきあい方の手助けでした。

支援団体を通じて答えた人の調査でも、1位は同じです。こちらは47.0%でした。

子どもが「わからない」と言うのは、答えを隠しているとは限りません。言葉にする方法を、まだ持っていないのかもしれません。

家でできそうなこと

ここからは、調査の数字をもとにした当サイトの考えです。

「どうして」と聞く代わりに、選べる形で言葉を渡します。

たとえば、体がしんどいのか、教室がいやなのか、先生のことなのか。いくつか並べて聞く方法です。

答えなくても構いません。言葉の候補があると分かるだけで、次に話すきっかけになります。

相談:半分は、相談先を使っていなかった

当時、相談した機関や人を聞いています。

相談した先(複数回答) 割合
なし51.1%
学校の先生(担任や保健室の先生など)21.1%
病院・診療所12.0%
スクールカウンセラーなど11.0%
教育支援センター9.7%
フリースクールなど7.3%

半分は、学校の先生も含めて、どこも使っていませんでした。

報告書のインタビューでは、支援や相談先の情報を得にくかったという声が紹介されています。

家族だけで抱えないために、学校以外の窓口を1つ知っておくと安心です。地域の窓口は不登校の「支援センター」はどこ?にまとめました。

大人になって振り返ると

最後に、不登校だったことを今どう思うかを聞いています。1つだけ選ぶ質問です。

今どう思うか 割合
しかたがなかった33.1%
行かなくてよかった26.0%
何とも思わない23.5%
行けばよかった16.5%

「行けばよかった」は、4つの中でいちばん少ない答えでした。

中学卒業後の経験も聞いています。人との関わりに苦労したと答えた人は70.0%です。一方で、人に優しくなったと答えた人も67.5%いました。

苦労と、得たものの両方があります。休んだことを、あとから責める材料にしなくていい数字です。

聞く前に、親ができる4つ

聞く前に、親ができる4つ。理由を1つに決めない、気持ちの言葉を選べる形で渡す、先生との関係も学校に聞く、家族以外の相談先を1つ持つ
理由を聞き出すより、言葉にする手助けを。
  1. 理由を1つに決めない。きっかけは、複数選ぶ人が多い質問でした
  2. 気持ちの言葉を、選べる形で渡す。当時ほしかった手助けの1位です
  3. 先生との関係も、学校に聞く。小学校で休みはじめた人に多いきっかけです
  4. 家族以外の相談先を、1つ持つ。半分の人は、相談先を使っていませんでした

親の関わり方全体は、不登校の子に親ができることに、先生・本人・親で見えているものの違いとあわせて書きました。

まとめ

  • 不登校を経験した大人の半分は、小学校で休みはじめていた
  • 小学校で休みはじめた人は、先生との関係がきっかけに多い。ゲームがきっかけは3.2%
  • 当時ほしかった手助けの1位は、気持ちを言葉にする方法。半分は相談先を使っていなかった
  • 振り返って「行けばよかった」は16.5%で、4つの答えの中で最も少ない

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出典

  • 文部科学省「不登校経験者等を対象とする調査」〜不登校・いじめ対策等の効果的な活用の推進に向けた調査研究報告書〜(令和7年、委託先:有限責任監査法人トーマツ)および概要。インターネット調査1万8,207人(18〜59歳、小・中学校で不登校を経験)、オンライン調査321人。休みはじめた学年と時期、きっかけ(Q2)、継続の理由(Q4)、相談した機関や人(Q5)、支援のニーズ(Q6)、振り返り(Q7)、中学卒業後の経験(Q13)、きっかけと休みはじめた学年の関連(第9章)、インタビュー(第13章)
  • 小学校で休みはじめた人の割合(53.0%)は、同報告書の人数から当サイトで計算
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杉野 一樹(ペンネーム)
杉野 一樹(ペンネーム)
不登校・進路情報編集者
「みちほどき」運営者。 不登校や学校に行きづらくなった子どもと保護者に向けて、出席扱い、学習支援、フリースクール、通信制高校、高卒認定、進学・就職などの情報を発信しています。 専門家や当事者としてではなく、文部科学省や自治体、学校などが公開する情報を確認し、制度や選択肢をわかりやすく整理することを大切にしています。 「学校に戻る」だけではない、その子に合った次の道を考えるための情報サイトを目指しています。
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