通信制高校

通信制高校のレポートは何回書くのか。74単位で160回を超えます

杉野 一樹

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通信制高校を調べていると「レポートが大変」という話が必ず出てきます。ただ、何回書くのかを書いている記事は多くありません。

先に答えです。卒業に必要な74単位を取るなら、レポートは160回を超えます。

回数は学校が勝手に決めているのではなく、国が1単位あたりの標準を示しています。だから自分の負担を、入る前に計算できます。

この記事では、その標準と、74単位ぶんの計算を出します。

学校に行かなくなったあとの4つの段階。いま、学び直し、進路、その先。この記事は進路の段階
学校に行かなくなったあとの4つの段階。この記事は「進路」の、入ったあとの話です。

レポートは「添削指導」。回数は国が決めている

通信制高校の勉強は、添削指導、面接指導、試験でできています。

高等学校通信教育規程の第2条に、そう書かれています。

このうち添削指導が、ふだん「レポート」と呼ばれているものです。

そして回数には標準があります。高等学校学習指導要領の第1章総則に、1単位あたりの表が載っています。

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教科 レポート(回) スクーリング(単位時間)
国語、地理歴史、公民、数学31
理科34
保健体育のうち「体育」15
保健体育のうち「保健」31
芸術、外国語34

家庭、情報、専門教科は、学校が必要に応じて回数と時間を決める形です。

1単位時間は50分です。これも学習指導要領に書かれています。

もうひとつ。同時にスクーリングを受ける生徒は40人を超えてはいけません。

通信教育規程に書かれている決まりです。

卒業まで、何回書くのか

標準がわかったので、74単位ぶんを積んでみます。

まず必ず取らないといけない科目(必履修科目)です。いちばん少ない組み方で35単位になります。

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教科 単位 レポート スクーリング
国語412回4単位時間
地理歴史412回4単位時間
理科412回16単位時間
数学39回3単位時間
外国語39回12単位時間
体育77回35単位時間

このほかの必履修科目も、同じように数えます。

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教科 単位 レポート
公民26回
保健26回
芸術26回
家庭24回
情報24回

必履修だけで、レポートは87回になります。

スクーリングは94単位時間です。時間に直すと、約78時間になります。

ここに総合的な探究の時間が加わります。残りの単位を選択科目で埋めて、74単位です。

積み上げ レポートの回数
必履修科目87回
選択科目36単位(1単位2回の場合)72回
選択科目36単位(1単位3回の場合)108回
74単位ぶんの合計162〜202回
1年あたり54〜66回

月にすると、4回から5回になります。

「毎月5回」と考えると、量の感覚がつかめると思います。週に1回強のペースです。

レポートが重い科目と、スクーリングが重い科目は違う

さっきの表を、もう一度見てください。おもしろい差があります。

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科目 レポート スクーリング
体育(7単位)7回35単位時間
国語(4単位)12回4単位時間

体育はレポートが少なく、スクーリングが長い科目です。国語はその反対です。

つまり体育はレポートが軽くてスクーリングが重い、国語や数学はその逆ということです。

これは時間割を組むときに効きます。通うのがつらい時期なら、レポート中心の科目を先に取る、という組み方ができます。

英語は「レポートは普通、通うのが重い」科目

「通信制の英語はどうなっているのか」という質問があるので、ここで書きます。

外国語のレポートは、1単位あたり3回です。

スクーリングは、1単位あたり4単位時間です。

レポートの回数は、国語や数学とまったく同じ3回です。違うのはスクーリングのほうです。

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3単位の科目 レポート スクーリング
英語(外国語)9回12単位時間=600分
数学9回3単位時間=150分

書く量は同じで、通う時間だけが4倍になります。

重いグループは英語だけではありません。理科と芸術も同じ4単位時間です。体育は5単位時間でいちばん重い科目です。

通う日を減らしたい人ほど、英語が残る

スクーリングは、動画などのメディアで減らせます。ただし10分の6までです。

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3単位の科目 減らす前 6割減らしたあと
英語12単位時間4.8単位時間
数学3単位時間3単位時間(減らさない場合)

つまり英語は、めいっぱい減らしたあとでも、数学を減らす前より長く通うことになります。

英語が苦手かどうかとは別の話です。通う日数を抑えたい人にとって、英語は最後まで残る科目だと考えてください。

なぜこうなっているのか。学習指導要領の解説に理由が書かれています。通信制の学習量が全日制・定時制の学習量に合うように定められているからです。

実際の学校でも、標準どおりだった

この標準が、実際にそのまま使われているか確かめました。東京都立一橋高校(通信制)が、科目ごとのスクーリング回数を公表しています。

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科目 一橋の回数 標準からの計算
数学I(3単位)3回3×1=3
生物基礎(2単位)8回2×4=8
体育1(2単位)10回2×5=10
英語コミュニケーションI(3単位)12回以上3×4=12

4科目とも、標準どおりの数字でした。

だから学校のパンフレットに回数が書かれていなくても、単位数さえわかれば自分で計算できます。説明会で聞くときも「標準どおりですか」と確かめれば早く済みます。

学校の探し方は近くの通信制高校はどう探す?にまとめました。

「答え」を探す前に、知ってほしいこと

「レポートの答え」で検索する人は多いです。詰まっているからだと思います。

ここで、制度のほうがどう決めているかを見てください。学習指導要領の解説には、こう書かれています。

「正誤のみの指摘はもちろん、解答に対する正答のみの記載や一律の解説の記載だけでは不十分、不適切であり」

これは学校側への注意です。答えだけを返すような添削は、やってはいけないことになっています。

さらに、こうも書かれています。

「マークシート形式のように機械的に採点ができるような課題や、択一式の問題のみで構成される課題は添削指導としては不適切である」

つまり「答えを埋めれば終わる課題」は、本来の添削指導ではないと国が言っています。

そして大事なのがここです。

「生徒から添削指導等についての質問を受け付け、速やかに回答できる仕組みを整えておくべきである」

聞いていいのです。というより、聞ける仕組みを学校が用意しておくことになっています。

解説には、学習にブランクがある生徒についても書かれています。「学習ブランクを添削指導で補っていくためには課題についての周到な研究と配慮が必要」とあります。

分からないまま出すより、分からないと伝えるほうが制度に合っています。

質問の窓口がどこかは学校で違います。担任か、教科の担当か、学習支援システムの中かです。入学の時点で聞いておいてください。

ため込む提出は、制度のほうが想定していない

もうひとつ、解説にはっきり書かれていることがあります。

「学期当初や年度末、試験前に添削課題をまとめて提出することを可能とするような運用を行つたり、添削指導や面接指導が完了する前に、当該学期の全ての学習内容を対象とした学期末の試験を実施したりすることがないよう、年間指導計画に基づき、計画的に実施することが必要である」

読みにくい文ですが、言っていることは2つです。

1つ目。試験前にまとめて出させるような運用をしてはいけない。

2つ目。添削と面接が終わる前に、学期末の試験をしてはいけない。

つまり「ためて最後に出す」は、そもそも制度が想定していない進め方です。

月に4〜5回という数字を思い出してください。

3か月ためると、15回分になります。取り返すのは相当きついです。

自分で進める力がどれくらい要るかは通信制高校はやめとけ?にも書きました。

テストは、添削と面接が終わってから

単位を取るには3つが要ります。レポートに合格すること、スクーリングに出ること、試験に合格することです。

順番があります。前の章のとおり、添削と面接が終わっていないのに試験だけ受ける、という形にはなりません。

だからレポートが遅れると、試験も受けられなくなります。ここが通信制でいちばん詰まりやすいところです。

都立一橋高校は、1年間に10回「学習状況通知」を郵送しています。レポートの評価、出席回数、試験の点数、評定がまとめて届く形です。

こうした通知がある学校なら、遅れに気づきやすくなります。説明会では「進み具合はどうやって分かりますか」と聞いてください。

ノー勉で受かる? 国のガイドラインが決めている試験の形

「通信制のテストは、勉強しなくても受かる」という話を見かけます。国のガイドラインは、試験の形を次のように決めています。

文部科学省の「高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン」(2023年改訂)です。

ガイドラインの書き方 意味
試験問題が毎年同じ、添削課題とまったく同じ不適切
文章で答える記述式を、一定量入れる求められている
1科目20分だけの試験不適切
学期末ではない集中スクーリングで試験をする不適切
採点は、その教科の免許を持つ学校の先生求められている

レポートの答えを丸暗記するだけでは通らない作りが、学校に求められています。

もちろん、実際の試験の難しさは学校ごとに違います。説明会では「試験は記述式がありますか」「過去の問題の形を教えてもらえますか」と聞いてください。

0点だったら? 再テストがある学校もある

試験に落ちたら、その科目の単位は取れません。ただ、もう一度受けられる仕組みを持つ学校があります。

宮崎県立延岡青朋高校は、レポートとスクーリングの条件を満たすと、テストの受験資格ができると案内しています。そのうえで「再テストなどの方法で合格すれば単位が取れます」と書いています。

沖縄県立宜野湾高校の2026年度の行事予定には、「再考査」と「追認考査」の日があります。

2校の時間割は、通信制高校の時間割と1日で読みました。再テストの有無と回数は、入学前に聞いておくと安心です。

詰まったときの順番

ここまでの内容を、確かめる順に並べました。

レポートで詰まったときに確かめる5つ。学校に質問できる窓口を聞いたか、不合格でも再提出できるか確かめたか、月に何回ぶんか計算したか、科目ごとの重さの違いを知っているか、試験前にまとめて出せばいいと思うのは注意
分からないまま出すより、分からないと伝えるほうが制度に合っています。

順番はこうです。まず、いま何回たまっているかを数える。次に、質問できる窓口に連絡する。

そのうえで、残りを月割りにします。「あと何回を何か月で」がはっきりすると、動きやすくなります。

レポート1回の問題数や、学校に頼める支援は通信制高校の勉強に書きました。

学校に聞くこと

  • レポートの質問は、誰にどうやってしますか
  • 不合格になったとき、再提出は何回までできますか
  • この科目は1単位につき何回ですか
  • 進み具合はどうやって分かりますか

まとめ

通信制高校のレポートについて、調べてわかったことを並べます。

レポートは「添削指導」といい、回数は学習指導要領で標準が決まっています。単位あたり、国語や数学は3回、体育は1回です。

卒業までのレポートは、計算すると162回から202回です。

月にすると、4回から5回になります。

体育はレポートが軽くてスクーリングが重く、国語や数学は逆でした。時間割の組み方で負担が変わります。

都立一橋高校の公表回数は、4科目とも標準どおりでした。単位数がわかれば自分で計算できます。

国は「答えだけを返す添削は不適切」「質問を受け付ける仕組みを整えるべき」としています。分からないときは聞いてください。

試験前にまとめて出す運用は、制度のほうが想定していません。

試験も、毎年同じ問題やレポートと同じ問題は不適切とされています。再テストの有無は学校に聞いてください。

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出典

  • 高等学校学習指導要領(平成30年告示)第1章総則第2款5、同解説 総則編(添削指導・面接指導の標準、1単位時間50分、添削指導の留意点)
  • 同 第1章総則第2款5(5)と解説。メディアを利用した学習による面接指導時間数の免除は10分の6以内、複数のメディアで合わせて10分の8まで
  • 高等学校通信教育規程(第2条 通信教育の方法、第4条の2 面接指導の人数)
  • 東京都立一橋高等学校 通信制のQ&A(科目ごとのスクーリング回数、学習状況通知)
  • 文部科学省「高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン」(令和5年2月一部改訂)。(5)試験及びその評価:1科目20分の試験や学期末以外の集中スクーリングでの試験は不適切、毎年同じ問題・添削課題と全く同じ問題は不適切、記述式を一定量、採点は免許を持つ実施校の教員
  • 宮崎県立延岡青朋高等学校 通信制課程の案内(テストの受験資格、再テスト)、沖縄県立宜野湾高等学校 令和8年度行事予定(再考査・追認考査)
  • 英語と数学のスクーリング時間の比較(6割免除後の4.8単位時間)は、当サイトで計算
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杉野 一樹(ペンネーム)
杉野 一樹(ペンネーム)
不登校・進路情報編集者
「みちほどき」運営者。 不登校や学校に行きづらくなった子どもと保護者に向けて、出席扱い、学習支援、フリースクール、通信制高校、高卒認定、進学・就職などの情報を発信しています。 専門家や当事者としてではなく、文部科学省や自治体、学校などが公開する情報を確認し、制度や選択肢をわかりやすく整理することを大切にしています。 「学校に戻る」だけではない、その子に合った次の道を考えるための情報サイトを目指しています。
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