起立性調節障害と学校。朝つらい日の出席の扱いと、学校に頼めること
朝、起きられない。午後になると少し楽になる。学校にどう伝えればいいのか分からない。
この記事は、学校とのやりとりの話だけを書きます。診断や治療、薬のことは書きません。体のことは医療機関に相談してください。
書くのは、出席の記録と、学校に頼めることと、進路の3つです。
- 学会の資料では、中学生の約10%にみられるとされている
- 不登校の約3〜4割に併存するとされている
- 学校との連携は、学会が挙げる治療の組み合わせの1つ
- 欠席は「病気」と「不登校」のどちらで記録されるかが分かれる
- 高校では日数ではなく単位で決まる

学会が示していること
日本小児心身医学会の資料から、学校に関わる部分を引きます。
起立性調節障害は、立ち上がったときに症状が出る病気とされています。頭痛やめまい、倦怠感などです。循環器系の自律神経の調節の不調が原因と説明されています。
思春期に発症しやすいとされています。午前に症状が強いため、学校生活に支障をきたすことがあると書かれています。
有病率は、軽症例も含めて中学生の約10%とされています。
不登校の約3〜4割に併存するとも書かれています。だから学校の理解が大切だ、という説明が続きます。
学校との連携は、治療の組み合わせの1つ
同じ資料は、治療を6つの組み合わせで説明しています。そのうちの1つが「学校との連携」です。
学校関係者に理解を深めてもらい、受け入れの態勢を整えることが挙げられています。
学校に伝えるのは、遠慮すべきことではありません。学会の資料が、治療の一部として挙げている項目です。
欠席は「病気」と「不登校」で分かれて記録される
ここからは学校の記録の話です。文部科学省の調査では、30日以上の欠席を理由ごとに数えています。
「病気」で30日以上登校しなかった児童生徒の数です。
| 学校 | 人数 |
|---|---|
| 小学校 | 6万1,114人 |
| 中学校 | 4万8,321人 |
| 高等学校 | 2万6,488人 |
病気による長期欠席は、不登校とは別に数えられています。どちらで記録するかは、学校が判断します。
不登校として記録された子について、学校が把握した事実の集計もあります。「生活リズムの不調に関する相談があった」は、小学校で25.0%です。高校では26.2%でした。
体の不調と生活リズムの話は、記録の上で近い場所にあります。だから自分の子がどちらで記録されているかは、聞かないと分かりません。
学校に頼めること
学校には、健康について相談する仕組みが法律で置かれています。学校保健安全法です。
- 第7条:健康診断・健康相談・保健指導などのために保健室を設ける
- 第8条:学校は、児童生徒等の心身の健康に関し、健康相談を行う
- 第9条:養護教諭その他の職員は、心身の状況を把握し、必要な指導と、保護者への助言を行う
- 第10条:必要に応じ、地域の医療機関その他の関係機関との連携を図るよう努める
窓口は担任だけではありません。養護教諭(保健室の先生)も、法律に書かれた役割を持っています。
頼む内容は、次のように具体的にすると通りやすくなります。
- 登校の時間帯(午後からの登校を認めてもらえるか)
- 欠席の記録(病気として記録されるか、不登校として記録されるか)
- 保健室の使い方(体調が悪くなったときに休める場所があるか)
- 体育や行事の扱い(見学の扱いと、評価への反映のしかた)
配慮の求め方
障害者差別解消法という法律があります。改正法が2024年4月から施行されました。
これにより、事業者にも合理的配慮の提供が義務づけられています。
ただし、診断名があれば自動的に決まるものではありません。何ができるかは、学校と話し合って決めることになります。
高校では、日数ではなく単位で決まる
小中学校と高校では、仕組みが変わります。高校は単位で卒業が決まります。
遅刻や早退がどう積み上がるかは、学校の規程で決まります。国の決まりに「何日休んだら単位が出ない」という日数はありません。
だから、聞く先は担任か教務です。科目ごとに、あと何時間休めるかを確かめてください。
高校の不登校の数字と、単位の確かめ方は不登校の高校生は6万7,782人にまとめました。
出席として扱われる仕組みもある
学校外の施設に通う場合と、家でICTを使って学ぶ場合です。どちらも出席として扱える仕組みがあります。
要件は決まっていて、判断するのは在籍校の校長です。中身は不登校の「出席扱い」にまとめました。
始める前に学校に相談することが、どの要件にも共通しています。
進路:時間帯から選ぶ方法がある
午後から動ける場合、時間帯で学校を選ぶ方法があります。
定時制には、午後に始まる課程を置く学校があります。通信制は、通う回数と曜日を選べる学校が多くなっています。
中学生の場合、高校受験で欠席がどう扱われるかは都道府県で違います。扱いは不登校でも高校受験はできる?にまとめました。
在籍している高校から移る場合は、転入学と編入学があります。締切は通信制高校の転入・編入はいつまで?で確かめてください。
学校に聞く4つ

- 欠席はどちらで記録されているか(病気か、不登校か)
- 午後からの登校を認めてもらえるか(何時までに入れば出席になるか)
- 体調が悪いとき、どこで休めるか(保健室の使い方)
- 高校なら、どの科目が危ないか(担任か教務へ)
よくある質問
Q. 学校に診断書を出したほうがいいですか。
A. 学校と相談してください。学校保健安全法には、地域の医療機関との連携に努めるという決まりがあります。
Q. 朝つらいのは気持ちの問題だと言われました。
A. 学会の資料は、体の病気であることを親子に説明することから治療が始まるとしています。
Q. 不登校として記録されると不利になりますか。
A. 記録の分類と、進級や受験の判断は別です。どちらで記録されているかは学校に確かめてください。
Q. 午後から行けば出席になりますか。
A. 学校の規程によります。何時までに入れば出席になるかを、先に聞いてください。
まとめ
- 学会の資料では、中学生の約10%にみられ、不登校の約3〜4割に併存するとされている
- 学校との連携は、学会が挙げる治療の組み合わせの1つ
- 欠席は「病気」と「不登校」で分かれて記録される。どちらかは学校に聞く
- 学校保健安全法に、健康相談・保健指導・医療機関との連携の決まりがある
- 高校は単位で決まる。遅刻や早退の積み上がり方は学校の規程による
出典
- 日本小児心身医学会「起立性調節障害」(一般の皆様へ/小児の心身症-代表的疾患、執筆:大阪医科薬科大学小児科 吉田誠司)。症状と原因の説明、思春期に発症しやすく午前に症状が強いこと、有病率は軽症例も含めて中学生の約10%、不登校の約3〜4割に併存すること、治療の6つの組み合わせ(疾病教育・非薬物療法・学校との連携・薬物療法・環境調整・心理療法)、軽症例は2〜3か月で改善すること
- 文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」(令和7年10月29日公表、令和8年1月16日一部修正)。「病気」により30日以上登校しなかった児童生徒数(小学校61,114人・中学校48,321人・高等学校26,488人)、不登校児童生徒について学校が把握した事実のうち「生活リズムの不調に関する相談があった」(小学校25.0%・高等学校26.2%)
- 学校保健安全法 第7条(保健室)・第8条(健康相談)・第9条(保健指導)・第10条(地域の医療機関等との連携)
- 内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進」。障害者差別解消法(平成25年法律第65号)、令和3年法律第56号による改正法が令和6年4月1日に施行

