子どもの不登校で仕事を辞める前に|介護休業は「不登校だから」では使えない。国の12項目の基準と、休む・短く働く4つの制度
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子どもが学校に行かなくなった。小学生を1人で家に置いて、出勤していいのか。仕事を辞めるしかないのか。
そう考えている保護者の方に向けて、国の資料でわかることを並べます。
先に答えです。厚生労働省は、不登校の子が国の基準に当たる場合に、介護休業や介護休暇を使えると案内しています。
ただし、不登校であることだけでは、対象になりません。12項目の基準に照らして判断する、と国の報告書に書かれています。
- 介護休業の「対象家族」には、子も入っている
- 不登校の事実だけでは対象にならない。12項目の基準で判断する
- 休む・短く働く制度は4つ。回数と日数は制度ごとに違う
- 介護休業の給付金は、休む前の賃金の67%
- 小学3年生までの「子の看護等休暇」は、不登校の付き添いを理由にしていない

国は、保護者の仕事への影響を認めている
厚生労働省と文部科学省は、事業主と労働者に向けたリーフレットを出しています。題は「不登校の現状をご存じですか?」です。
リーフレットには、次のように書かれています。
- 小学校低学年では、保護者が自宅で子どもを見守らざるを得なくなることがある
- 保護者の就業にも影響が生じ得る
- 保護者が離職や休職をせざるを得ない状況に追い込まれるケースも指摘されている
国が、会社に向けて「社員に相談窓口を知らせてほしい」と呼びかけている資料です。保護者だけの問題として扱っていません。
辞めた人の割合は、国の統計にはない
不登校を理由に仕事を辞めた保護者の割合を、国が調べた統計は見当たりませんでした。
民間のアンケートはいくつかあります。ただ、相談窓口の利用者などに聞いたもので、全体の割合とは言えません。この記事では数字を使いません。
介護休業は「不登校だから」では使えない
育児・介護休業法の介護休業は、高齢の親のための制度だと思われがちです。対象家族には、子も入っています。
厚生労働省のページには、次の一文があります。
不登校児童生徒が育児・介護休業法における「常時介護を必要とする状態」に該当する場合には、介護休業・休暇制度等が利用可能です。
大事なのは「該当する場合には」という条件です。
厚生労働省の研究会は、令和7年1月に報告書を出しています。そこには、不登校の状態にある事実そのものではなく、基準に照らして判断すべき、と書かれています。
学校に行っていないことだけでは、介護休業の対象になりません(当サイトの読み)。
国の基準は12項目
「常時介護を必要とする状態」は、次のどちらかに当たる場合です。
- 介護保険の要介護2以上である
- 12項目のうち「2」が2つ以上、または「3」が1つ以上当たり、その状態が続くと認められる
子どもの場合は、12項目のほうで見ることになります。項目は次のとおりです。
| 番号 | 項目 |
|---|---|
| 1〜3 | 座っていられる、歩く、乗り移る |
| 4〜6 | 水分・食事をとる、排泄、衣類の着脱 |
| 7 | 意思の伝達 |
| 8 | 外出すると戻れない、危険を避けられない |
| 9 | 物を壊したり、衣類を破ったりする |
| 10 | 周囲の対応が必要なほどの、認知・行動上の課題 |
| 11 | 薬や医療機器の使用・管理 |
| 12 | 日常の意思決定 |
それぞれの項目に、3つの段階があります。水分・食事の項目なら、次のとおりです。
| 段階 | 水分・食事をとる |
|---|---|
| 1 | 自分で可 |
| 2 | 一部介助、見守り等が必要 |
| 3 | 全面的介助が必要 |
基準の注に書かれていること
基準には注が付いています。子どもに関係しそうなものを3つ挙げます。
- 「見守り等」には、常時の付き添いのほか、必要な行為の「確認」「指示」「声かけ」が入る
- 項目9の「3」には、自分や他人を傷つけることがときどきある状態が入る
- 項目10は、急な予定の変更や環境の変化が極端に苦手で、周囲のサポートがないと日常生活に支障が出る状況をいう
どの項目に当たるかは、子どもの状態によって違います。この記事では、当たる・当たらないの判断はできません。
診断書がないと使えない、とは書かれていない
会社は、状態を証明する書類を求めることができます。ただし報告書は、書類の提出を制度利用の条件にはできない、という扱いを確認しています。
基準そのものにも、会社への注意が書かれています。基準に厳密に従うことにとらわれず、柔軟に運用することが望ましい、という内容です。
報告書は、この基準を最低基準としています。会社がより緩やかな制度にすることは望ましい、とも書いています。
休む・短く働く制度は4つ
基準に当たる場合に使える制度は、4つあります。厚生労働省の特設サイトをもとに並べます。
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| 制度 | できること | 期間・回数 |
|---|---|---|
| 介護休業 | まとまって休む | 対象家族1人につき3回、通算93日まで |
| 介護休暇 | 1日か時間単位で休む | 1年に5日まで |
| 短時間勤務などの措置 | 短く働く、時差出勤など | 3年以上の期間で2回以上 |
| 残業の免除 | 所定外労働をしない | 1回につき1か月以上1年以内 |
4つの制度は、パートやアルバイトの人も対象です。ただし、日々雇用の人は対象外です。期間を決めて働いている人の介護休業には、契約期間の要件があります。
それぞれの注意点
- 介護休業:休みを始める2週間前までに、書面などで会社に申し出る
- 介護休暇:口頭でも申し出られる。有給か無給かは、会社の規定による
- 短時間勤務などの措置:会社が、短時間勤務・フレックス・時差出勤などから1つ以上を設ける。どれがあるかは会社で違う
- 残業の免除:始める1か月前までに請求する。回数の制限はない
労使協定がある会社では、入社1年未満の人などが対象から外れることがあります。就業規則で確かめてください。
介護休業は、体制を整えるための期間
厚生労働省は、介護休業を「自分で介護を続ける期間」とは説明していません。仕事と両立できる体制を整えるための準備期間、としています。
不登校の場合に置きかえると、93日は次のことに使う期間になります(当サイトの読み)。
- 学校と、別室や登校の形を話し合う
- 教育支援センターなど、日中に通える場所を探す
- 家族の中で、見守りの分担を決める
介護休業の給付金は、賃金の67%
介護休業のあいだ、会社から賃金が出ないことがあります。そのときは、雇用保険の介護休業給付金があります。
額は、休む前の賃金日額に支給日数をかけて、その67%です。
支給されるのは、同じ家族について93日までです。回数は3回までです。
目安を計算しました。賃金は、休む前6か月の平均です。
| 休む前の賃金(月) | 給付金の目安(月) |
|---|---|
| 20万円 | 約13万4,000円 |
| 25万円 | 約16万7,500円 |
| 30万円 | 約20万1,000円 |
表は当サイトの計算です。
給付金には月の上限額があり、366,222円です。上限額は毎年8月1日に変わります。
雇用保険に入っている人が対象です。申請は、会社を通してハローワークに出します。
小学3年生までの「子の看護等休暇」は、理由が違う
子どもの世話のための休暇には、子の看護等休暇もあります。対象は、小学3年生の修了までの子です。2025年4月に、対象が広がりました。
取れる日数は、1年に5日までです。子が2人以上いる場合は、10日までになります。
ただし、取れる理由は4つに決まっています。
- 病気・けが
- 予防接種・健康診断
- 感染症に伴う学級閉鎖など
- 入園式・入学式・卒園式
不登校の付き添いは、4つの理由に入っていません。子どもが体調を崩している日は、病気の理由で取れます。
会社が独自に作っている制度もある
法律の制度のほかに、会社が独自の休業を設けている例があります。
国のリーフレットは、共同印刷株式会社の例を載せています。子どもの不登校や不妊治療を理由にした休業の制度を、2023年1月に入れた会社です。
休業は最長2年間、短時間勤務は最長3年間です。
勤め先に同じような制度があるかは、就業規則か人事の窓口で確かめます。在宅勤務や時差出勤が使える会社もあります。
昼間、子どもが過ごせる場所を先に探す
働き方を変える前に、日中の居場所を確かめておくと、選べる形が増えます。
- 学校の中の別室:教室に入れなくても、学校には行ける子に。別室登校にまとめました
- 自治体の教育支援センター:無料の公的な施設です。見つけ方は不登校の「支援センター」はどこ?に書きました
- フリースクール:費用がかかります。補助がある自治体は不登校の支援で使える助成金・補助金で確かめられます
家から出るのが難しい時期は、オンラインで参加できる場所もあります。
小学生が家で過ごす時間の作り方は、不登校の小学生、家での過ごし方に書きました。
辞めると決める前に確かめる4つ

- 就業規則の休業・短時間勤務(会社独自の制度があることも)
- 介護休業の基準に当たるか(迷えば労働局に聞く)
- 日中に通える場所(別室、教育支援センター)
- 休んだ場合のお金(給付金は賃金の67%)
制度についての相談先は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)です。会社と話がかみ合わないときにも、相談できます。
辞めた場合の失業給付
辞めたあとの失業給付には、「特定理由離職者」という区分があります。家庭の事情が急に変わって辞めた人などが、当たることがあります。
子どもの不登校で辞めた場合に当たるかは、ハローワークの資料には書かれていませんでした。決めるのはハローワークです。辞める前に、窓口で聞いておけます。
よくある質問
Q. 子どもが不登校なら、介護休業を取れますか。
A. 不登校であることだけでは取れません。国の12項目の基準に当たる場合に取れます。
Q. 医師の診断書は必要ですか。
A. 会社は書類を求めることができます。ただし、提出を制度利用の条件にはできない、という扱いです。
Q. パートでも使えますか。
A. 使えます。ただし日々雇用の人と、労使協定で外れる人は対象外です。就業規則で確かめます。
Q. 介護休暇は有給ですか。
A. 会社の規定によります。年次有給休暇とは別に取れる休暇です。
Q. 同じ立場の保護者と話したいです。
A. 不登校の親の会に、探す順番を書きました。
まとめ
- 国は、不登校が保護者の仕事に影響することを、会社に向けた資料で認めている
- 介護休業・介護休暇は、子が国の基準に当たる場合に使える。不登校の事実だけでは対象にならない
- 基準は12項目。「見守り等」には、確認・指示・声かけが入る
- 休む・短く働く制度は4つ。介護休業は3回・通算93日まで、給付金は賃金の67%
- 辞めると決める前に、就業規則、日中の居場所、お金の3つを確かめる
出典
- 厚生労働省「育児・介護休業法について」。不登校対策に関する国の取組と地域の相談窓口等について
- 厚生労働省・文部科学省「不登校の現状をご存じですか?」(事業主・労働者向けリーフレット)。保護者の就業への影響、企業の例
- 厚生労働省「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」。12項目と注
- 厚生労働省「介護休業制度等における『常時介護を必要とする状態に関する判断基準』の見直しに関する研究会報告書」(令和7年1月)。不登校の状態にある対象家族の判断、書類の扱い、最低基準
- 厚生労働省「介護休業制度特設サイト」。介護休業、介護休暇、短時間勤務等の措置、所定外労働の制限
- 厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」。子の看護等休暇の対象と取得事由
- ハローワークインターネットサービス「雇用継続給付」。介護休業給付の支給額と上限。「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」
- 給付金の目安の表は、当サイトの計算です(賃金の月額×67%)

